駕駛執照を入手してすぐに動きの早い芊芊は租車(中国語でレンタカーのこと。出租車とも言うが、タクシーを指すこともある。タクシーは台北では一般的に計程車)を士林にある和運租車の服務站(中国語で営業所のこと)にすぐに行くことになりました。何と驚くことにすでに芊芊は網路(インターネット)で予約していました。網路で予約すると通常価格よりもはるかに安く、保険などを含めて1日約1800元ぐらいで借りることができます。日系のレンタカーも台湾にはありますが、台湾人である芊芊がいることは心強く、手続きや書類などすべて問題ありませんから、台湾で一番大手と言われるこの和運租車はサービスも車も良く、とてもお勧めです。
和運租車
借りた車はトヨタのVIOSです。國瑞汽車(TOYOTA)は台湾でも大変人気があり、中壢に工場がありますが、多くの台湾人の方々が高い品質を維持するためにきちんとした工程管理の下、製造しています。
しかし、いつも思うのは芊芊の手際の良さ。この子は酒店で小姐をしていますが、気立ても良く、英語もできて聡明ですから、いつもお金の問題がなければ、そして大學を卒業していれば、大きな公司で十分に通用する子でした。
その彼女が行きたかったのは彰化の鹿港、雲林北港の五路財神廟、南投の妖怪村と清境農場でした。台中にかつて住んでいた彼女は台北には時折、学校の校外学習で来ていたものの、台南や高雄などをはじめ、台中より南はあまり行ったことがなく、一度訪れてみたかったようです。
さて、さっそく車を借り、午後3時過ぎには家に一端帰ることになりました。芊芊は機車で、私は汽車でという別々の運転だったため、初めて運転する台北の市街地にちょっと緊張感がありましたが、運転してみたらすぐにカンが戻り、まったく問題なく右側通行、左ハンドルにもあっという間に慣れてしまいました。一度、家に帰って、とりあえずの旅行に必要な服や生活用品をバックに芊芊と詰めて出発となりました。
芊芊は極めて上機嫌で饒舌、「你要嗎?」とかいろいろなグッズを見せては訊いてきます。この子は本当に旅行に行ってみたかったんでしょう。台中から出てきてから長い休みはなく、夜は毎日、夜市でTシャツを売り、暑假や寒假はいろいろな打工をこなし、それに疲れた彼女は賃金の良い酒店で働くようになったものの、週に4天、夜の10時から朝の6時まで働くという日々でした。家を両親とケンカして飛び出したこともあって、台中にも帰るに帰れず、ずっと台北で単調な日々をすごしていたのですから当然と言えば当然だったかもしれません。
さて夕方4時過ぎには、はしゃぐ芊芊を車に乗せて、出発、さっそく中山高速公路に乗って三重、五股、泰山と車を進めました。桃園を過ぎ、ちょうど
中壢に近づいた頃、芊芊が一度、高速公路を降りて、夕食を中壢あたりで食べようというので一般道に降りることになりました。
高速公路を降りて中壢の中心部に向かう道は民族路と言いますが、夕刻のインターと交わる道路には桃園・中壢のあたりには妖艶な格好をした檳榔西施が多くいます。台北は高速公路から降りた重慶北路のあたりに檳榔店が数多くありますが、台北市は市の条例で薄着の檳榔西施による営業を禁止していますので、店は多くあってもいわゆる妖艶な格好の女性はいません。しかし、台北の郊外に出ると規制がなくなることもあって多くの檳榔西施を見ることができます。さらに台北から南へ下る台中、台南や高雄に行くと衣装はどんどん過激になります。南部はちょっとした摸摸もできることが多く、台湾の社会風俗文化としてよく紹介されますから、ご存じの方も多いと思います。しかし、観光や旅行で来られた方は車で走って高速公路近くの郊外に行くことはまずなく、わざわざ檳榔西施を見に行くようなオプションツアーもあるわけないので、実際に見ることは台湾に住んでいて車やバイクに乗っていないとまずないかもしれません。
檳榔西施のインタビュー。わかりやすい中国語を話すので、聞き取りの練習にもいいです。商品の檳榔を作る様子や店内の様子もわかります。煙草や冷飲を同時に売っていることが多いのですが、ほとんど原価が10元以下と言われる檳榔を1袋または1箱100元平均で売りますから、効率の良いビジネスです。
露出度が高く、ちょっとした特別服務もある南部の檳榔西施たちの様子。本当かどうかはわかりませんが、結構多くのニュースで報道され、動画もありますから台南・高雄あたりではよくあるのかもしれません。
台湾の驚くべきところは16歳や17歳の高中妹の檳榔西施が結構いること。もちろん、生活のために高額の報償を得るためにやっていますが、法律的には風俗業の八大業には含まれないため、18歳以下でも就業が可能です。彼女たちは18歳になると酒店小姐になる子も多いです。私が2011年に御坂という今はない制服店で知り合った18歳の米奇と奶茶という子はともに高中の3年級で、17歳の時は基隆で檳榔西施をやっていたと言っていました。南部は檳榔を買うと摸摸のような特別服務があるような競争の激しい所もありますが、台湾の北部については基本的にそのようなことはなく、ただ、露出度の激しい衣装を着て檳榔を売るだけですから、容姿に自信がある子にとっては割の良い打工かもしれません。
これは台湾の一天壹蘋果という社会風俗世相を斬るトーク番組。真面目な番組なのか、バラエティなのかよくわからない構成なのですが、17歳の現役檳榔西施が出演しています。下のリンクを見るとすべてVol.1~4の全集を見ることができます。彼女たちの生活の様子やなぜ檳榔西施になったのかがよくわかります。Vol.1は15歳、高中1年級からこの仕事を始めた念念という子のインタビューと仕事ぶりが中心。ドキュメント風のタッチで描かれています。また、リンク先にあるVol.3では台南市安吉路の檳榔西施による摸摸の特別服務が本当かどうかを潜入取材している動画もあります。さらには酒店の中でも「剝皮店」と言われるボッタクリ、詐欺店の手口も紹介しているシリーズもあります。中国語の聞き取りの練習にもなり、画像もHDできれい。台湾社会を知り得るためには必見です。ぜひ、ご覧下さい。
2012年04月02日放映 一天壹蘋果 - 檳榔西施
檳榔を噛んだことは私は一度もないのですが、仕事で長距離トラックの運転手などと打ち合わせたり、同乗するとよく勧められます。いつも断っていますが、口腔癌になりやすく、習慣性や中毒性も強いと聞きます。石灰と一緒にガムのように噛み、赤い汁が出るのでこれを紙コップにはき出す(路上に吐くと罰金ですが、今でも台湾の歩道上にある赤黒い汚れはこれです)のですが、かなり苦いらしいとのこと。酒店の大廳でも包廂を待っている間などに噛んでいる人は結構います。酒店の小姐がキスをすごく嫌がるのは、これが理由。日本人で檳榔を常用している人はまずいないので、キスに関しては台湾人の子たちは日本人に対して比較的安心感をもっていますね。
國民健康局 檳榔防制暨口腔癌防治
防制檳榔危害健康
さらに何気なく檳榔を買おうとしても必ず、檳榔西施が何か中国語で聞いてくるはず。実は檳榔には種類があって「紅灰」「包葉白灰」「雙子星」の3種類があり、きちんとどれが欲しいか言わないといけません。さらには小箱や小袋(だいたい50元)と大箱や大袋(だいたい100元~200元)もあります。まあ、買わない方がいいに越したことはないのですが。経験として一度ぐらいはやってみてもいいかもしれませんが、私はやっぱりお歯黒を塗ったような歯が真っ黒な常用台湾人の方を見るとちょっと遠慮したいですね。
檳榔介紹
実際に檳榔西施とちょっとした会話やふれあいをしながら買うのが台湾の檳榔店の楽しみ方なのでしょうが、檳榔には興味がない私にとってはひとつの台湾の風景。芊芊も見慣れていますから、特段、何の感覚もありません。日本人にとってはちょっと驚くようなこの風景も台湾では当たり前のことなので、不思議なのですが、子供たちが前を普通に通り過ぎて行きます。「檳榔売りのお姉さんだ」ぐらいの日常の光景なのでしょう。
芊芊と吃飯をした後、私たちは再び独特の棒状ネオンサインの輝く檳榔店の前を通り過ぎ、高速公路に戻りました。
そして、芊芊の故郷である台中に向けて、夜の台湾西部を疾走し出したのです。
今回の記事はいかがでしたか?
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和運租車
借りた車はトヨタのVIOSです。國瑞汽車(TOYOTA)は台湾でも大変人気があり、中壢に工場がありますが、多くの台湾人の方々が高い品質を維持するためにきちんとした工程管理の下、製造しています。
しかし、いつも思うのは芊芊の手際の良さ。この子は酒店で小姐をしていますが、気立ても良く、英語もできて聡明ですから、いつもお金の問題がなければ、そして大學を卒業していれば、大きな公司で十分に通用する子でした。
その彼女が行きたかったのは彰化の鹿港、雲林北港の五路財神廟、南投の妖怪村と清境農場でした。台中にかつて住んでいた彼女は台北には時折、学校の校外学習で来ていたものの、台南や高雄などをはじめ、台中より南はあまり行ったことがなく、一度訪れてみたかったようです。
さて、さっそく車を借り、午後3時過ぎには家に一端帰ることになりました。芊芊は機車で、私は汽車でという別々の運転だったため、初めて運転する台北の市街地にちょっと緊張感がありましたが、運転してみたらすぐにカンが戻り、まったく問題なく右側通行、左ハンドルにもあっという間に慣れてしまいました。一度、家に帰って、とりあえずの旅行に必要な服や生活用品をバックに芊芊と詰めて出発となりました。
芊芊は極めて上機嫌で饒舌、「你要嗎?」とかいろいろなグッズを見せては訊いてきます。この子は本当に旅行に行ってみたかったんでしょう。台中から出てきてから長い休みはなく、夜は毎日、夜市でTシャツを売り、暑假や寒假はいろいろな打工をこなし、それに疲れた彼女は賃金の良い酒店で働くようになったものの、週に4天、夜の10時から朝の6時まで働くという日々でした。家を両親とケンカして飛び出したこともあって、台中にも帰るに帰れず、ずっと台北で単調な日々をすごしていたのですから当然と言えば当然だったかもしれません。
さて夕方4時過ぎには、はしゃぐ芊芊を車に乗せて、出発、さっそく中山高速公路に乗って三重、五股、泰山と車を進めました。桃園を過ぎ、ちょうど
中壢に近づいた頃、芊芊が一度、高速公路を降りて、夕食を中壢あたりで食べようというので一般道に降りることになりました。
高速公路を降りて中壢の中心部に向かう道は民族路と言いますが、夕刻のインターと交わる道路には桃園・中壢のあたりには妖艶な格好をした檳榔西施が多くいます。台北は高速公路から降りた重慶北路のあたりに檳榔店が数多くありますが、台北市は市の条例で薄着の檳榔西施による営業を禁止していますので、店は多くあってもいわゆる妖艶な格好の女性はいません。しかし、台北の郊外に出ると規制がなくなることもあって多くの檳榔西施を見ることができます。さらに台北から南へ下る台中、台南や高雄に行くと衣装はどんどん過激になります。南部はちょっとした摸摸もできることが多く、台湾の社会風俗文化としてよく紹介されますから、ご存じの方も多いと思います。しかし、観光や旅行で来られた方は車で走って高速公路近くの郊外に行くことはまずなく、わざわざ檳榔西施を見に行くようなオプションツアーもあるわけないので、実際に見ることは台湾に住んでいて車やバイクに乗っていないとまずないかもしれません。
檳榔西施のインタビュー。わかりやすい中国語を話すので、聞き取りの練習にもいいです。商品の檳榔を作る様子や店内の様子もわかります。煙草や冷飲を同時に売っていることが多いのですが、ほとんど原価が10元以下と言われる檳榔を1袋または1箱100元平均で売りますから、効率の良いビジネスです。
露出度が高く、ちょっとした特別服務もある南部の檳榔西施たちの様子。本当かどうかはわかりませんが、結構多くのニュースで報道され、動画もありますから台南・高雄あたりではよくあるのかもしれません。
台湾の驚くべきところは16歳や17歳の高中妹の檳榔西施が結構いること。もちろん、生活のために高額の報償を得るためにやっていますが、法律的には風俗業の八大業には含まれないため、18歳以下でも就業が可能です。彼女たちは18歳になると酒店小姐になる子も多いです。私が2011年に御坂という今はない制服店で知り合った18歳の米奇と奶茶という子はともに高中の3年級で、17歳の時は基隆で檳榔西施をやっていたと言っていました。南部は檳榔を買うと摸摸のような特別服務があるような競争の激しい所もありますが、台湾の北部については基本的にそのようなことはなく、ただ、露出度の激しい衣装を着て檳榔を売るだけですから、容姿に自信がある子にとっては割の良い打工かもしれません。
これは台湾の一天壹蘋果という社会風俗世相を斬るトーク番組。真面目な番組なのか、バラエティなのかよくわからない構成なのですが、17歳の現役檳榔西施が出演しています。下のリンクを見るとすべてVol.1~4の全集を見ることができます。彼女たちの生活の様子やなぜ檳榔西施になったのかがよくわかります。Vol.1は15歳、高中1年級からこの仕事を始めた念念という子のインタビューと仕事ぶりが中心。ドキュメント風のタッチで描かれています。また、リンク先にあるVol.3では台南市安吉路の檳榔西施による摸摸の特別服務が本当かどうかを潜入取材している動画もあります。さらには酒店の中でも「剝皮店」と言われるボッタクリ、詐欺店の手口も紹介しているシリーズもあります。中国語の聞き取りの練習にもなり、画像もHDできれい。台湾社会を知り得るためには必見です。ぜひ、ご覧下さい。
2012年04月02日放映 一天壹蘋果 - 檳榔西施
檳榔を噛んだことは私は一度もないのですが、仕事で長距離トラックの運転手などと打ち合わせたり、同乗するとよく勧められます。いつも断っていますが、口腔癌になりやすく、習慣性や中毒性も強いと聞きます。石灰と一緒にガムのように噛み、赤い汁が出るのでこれを紙コップにはき出す(路上に吐くと罰金ですが、今でも台湾の歩道上にある赤黒い汚れはこれです)のですが、かなり苦いらしいとのこと。酒店の大廳でも包廂を待っている間などに噛んでいる人は結構います。酒店の小姐がキスをすごく嫌がるのは、これが理由。日本人で檳榔を常用している人はまずいないので、キスに関しては台湾人の子たちは日本人に対して比較的安心感をもっていますね。
國民健康局 檳榔防制暨口腔癌防治
防制檳榔危害健康
さらに何気なく檳榔を買おうとしても必ず、檳榔西施が何か中国語で聞いてくるはず。実は檳榔には種類があって「紅灰」「包葉白灰」「雙子星」の3種類があり、きちんとどれが欲しいか言わないといけません。さらには小箱や小袋(だいたい50元)と大箱や大袋(だいたい100元~200元)もあります。まあ、買わない方がいいに越したことはないのですが。経験として一度ぐらいはやってみてもいいかもしれませんが、私はやっぱりお歯黒を塗ったような歯が真っ黒な常用台湾人の方を見るとちょっと遠慮したいですね。
檳榔介紹
実際に檳榔西施とちょっとした会話やふれあいをしながら買うのが台湾の檳榔店の楽しみ方なのでしょうが、檳榔には興味がない私にとってはひとつの台湾の風景。芊芊も見慣れていますから、特段、何の感覚もありません。日本人にとってはちょっと驚くようなこの風景も台湾では当たり前のことなので、不思議なのですが、子供たちが前を普通に通り過ぎて行きます。「檳榔売りのお姉さんだ」ぐらいの日常の光景なのでしょう。
芊芊と吃飯をした後、私たちは再び独特の棒状ネオンサインの輝く檳榔店の前を通り過ぎ、高速公路に戻りました。
そして、芊芊の故郷である台中に向けて、夜の台湾西部を疾走し出したのです。
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