包廂では口数が少ない麻衣がポツリと話し出しました。

「我不想在一起跟貝貝」 (私は貝貝と一緒にいたくない)

私はこの時まで、麻衣はいつも貝貝と一緒に行動していたので、仲がいい大學の同級と思っていました。しかし、麻衣は貝貝は、はっきりと意見をいうので自分の気持ちを言えなくなってしまうこと、彼女のペースで物事が進んでいくことのストレスがあることを話し出しました。前のブログで書いた麻衣が貝貝の予定に合わせていることもこの時、初めて私は知ったのです。

その時、いきなり、包廂の扉が開かれました。

「你好!XX先生。今天如何?」 (よう、XXさん、今日はどう?)

入ってきたのは、幹部の震洲でした。麻衣はとても恥ずかしがり屋で胸が多分Bカップあるかどうかでしたから、とてもコンプレックスをもっていて、涼しい格好をしていた彼女は咄嗟に胸を腕で覆いました。

震洲の後ろには細身の美少女が立っていました。

「今天你打算陪依晨(貝貝のこと)和心情(麻衣のこと)一起。不過依晨是被框的。應該心情 一個人是無聊。因為她是安静、所以我帶新妹、她的名字彩虹。她也女生、大學四年級。很可愛的」

(今日は依晨と心情を一緒に呼ぶつもりだっただろう?だけど依晨は框されたから、心情ひとりじゃ、つまらないんじゃない?、彼女はおとなしいからね。だから、もう一人新しい子を連れてきたよ。彼女の名前は彩虹。彼女も大學4年生の学生さ。とっても可愛いから)

麻衣は震洲の言葉を下を向いて静かに聞いていました。貝貝がいないとつまらないだろうと震洲にも麻衣は思われていたようですが、麻衣は基本的に物事を受け入れ、反発などできない性格の子ですから、心の中にはいろいろな思いがあったのでしょうが、ただ、黙っていました。私は麻衣の貝貝に対する気持ちを聞いたばかりだったし、麻衣も一人の方が実は気楽であることがわかったので、震洲が連れてきた彩虹はとても可愛い子だったのですが、断ろうと思いました。麻衣の気持ちを考えると、麻衣が心穏やかに包廂ですごせる時間があってもいいかなと考えたからです。基本的にちょっと人見知りする麻衣は気の強い正職の小姐たちにいつも気を遣ってすごしていることは容易に想像がつきましたし、ましてや彼女がまったく知らない年上のPT妹とまた一緒に過ごすということは麻衣にとっても、また、ストレスがたまると思ったからです。

しかし、その時、さらに意外なことが起りました。私が幹部の震洲に断ろうとする前に麻衣が「可以!」(大丈夫だよ)と答えたのです。私はちょっと驚いてしまいました。

「OK、OK。彩虹是很好的小姐。所以你決定的!心情、不要擔心!」

(OK、OK。彩虹はとってもいい子だ。決定でいいよね。心情、心配しなくていいから!)

そう言うと震洲は後ろにいた彩虹を私の横にすわるように促しました。彩虹はにっこりと微笑むと「你好!」と言って私と麻衣にあいさつして、すぐにソファに座りました。震洲が包廂を去ったと同時に私は麻衣に訊きました。

「我覺得你一個人比較好。為什麼?」 (僕が思うに麻衣は一人でいたかったんじゃない?どうして?)

「彩虹是今天第一次上班。如果你跟幹部説不要彩虹的話、她感覺很悲哀。所以・・・・」

(彩虹は今日は最初の上班でしょう。もし、あなたが幹部に彩虹は必要ないなんて言ったら、彼女はとても悲しくなるよ。だから・・・・)

麻衣は心優しい女性でした。

彩虹は今日から暑假が始まり、最初の上班。そして、酒店に来た途端、最初の客人である私がもし、彼女を断ったとしたら、彩虹はきっと好かれなかったと落胆してしまうと麻衣は考えたのです。その話を彩虹も聞いていました。

「真的你要求求我嗎?」 (ねえ、本当に私が必要なの?)

彩虹も気を遣われてここにいるとしたら、きっと本意ではないのでしょう。気にして訊いてきました。

「不是。你是很好的小姐。但今天我覺得麻衣一個人比較好。所以如果麻衣不介意、沒問題」

(ううん、彩虹はとってもいい子だと思うよ。但し僕は今日、麻衣が一人の方がいいかなと思っていたんだ。だから、麻衣がかまわないなら、問題ないよ)

彩虹はニコリと微笑みを浮かべ、桌(テーブルのこと)の上にあった杯子(コップのこと)に台湾啤酒を注ぎました。

7415f4bf0cdded53fb0793f5691d9764

これが、私と麻衣と彩虹との最初の出逢い。

私は心やさしい麻衣の気持ちにだんだんとこの後、惹かれていきました。
そして、この後、麻衣と彩虹はとても気が合って、2人は一心同体の姉妹のようになっていきます。

「事実は小説よりも奇なり」と言いますが、この後、私がこの2人とタイに一緒にこの夏、旅立つことになるとは、この時、想像すらできませんでした。

麻衣と彩虹の物語はまだ、今書いている時代よりずっと先のことなのですが、ブログの中に麻衣のことは現在進行形で時々登場するので、ちょっと、そのさわりの部分だけを紹介したしだいです。

彩虹とは、今はもう逢うことはありませんが、Facebookでやりとりを続けています。彼女は酒店を去った後、恋人ができ、さらには台北から少し離れた故郷の新竹で大きな公司の秘書を今はしています。当時、彩虹が通っていたのは、台北から離れている苗栗にあった國立大學でした。私が出逢った小姐のうち、國立大學に通っていたのはたった3人だけで、そのうちの数少ない一人です。極めてしっかりしていて、お洒落なのにとってもインテリでした。

聯合大學

この彩虹の姉は今もある酒店で公關をしていて、宝石の名前の花名を使っています。やはり、台北の公司の秘書をしていて、当時、彩虹は大學がない日にバスで苗栗からはるばるやってきて、台北に住んでしたこの姉の家に寝泊まりしていました。彩虹のお姉さんとも私は親しくしていて、彩虹が酒店を去った後も、私はお姉さんのところへは時々、訪ねて行っていました。姉妹の仲が良く、顔やスタイルもそっくり。最初に逢ったときは双子かと思うほどでした。

 当時の彩虹。ガウスぼかしをかけています。彼女の本名はとても素敵な名前で、宝石のように美しい子といったような意味合いがあります。名前の通り、すごく美人でスラッとしたスタイルをしていました。ただし、麻衣と同様、胸がCカップぐらいで、そんなには大きくはなく、いつも寄せて作っていました。それも麻衣と気が合った理由なのかもしれません(笑)。彼女が酒店にいたのは2010年の暑假のたった3週間のみ。麻衣とともに7月6日に私と最後に過ごして下檔しました。
彩虹モザ1

彩虹モザ2

彩虹は心やさしき麻衣のことが、この最初の顛末から、とても好きになったようでした。麻衣は必ず、相手に気を遣い、自分はそのために我慢したりすることが自然とできる子で、そんな麻衣をちょっと年上の彩虹はとても愛おしく感じたようでした。

そして、この日、さらに驚くことが起りました。

麻衣は歌が苦手で基本的にいつも安静(中国語で静かにおとなしくしていること。病気の安静とはちょっとニュアンスが異なります)にして客人や貝貝の歌を聴いていることが多かったのですが、実は彩虹も歌が苦手という共通点がありました。本当はこの日、ちょっと寒假で上班の経験がある麻衣が包廂の中でのもてなし方や遊び方を教え、彩虹をリードすべきなのでしょうが、麻衣の気質からしてそれはできないことはわかっていました。

貝貝とは異なるタイプの彩虹は、気遣いができ、心やさしい子なのですが、とても活発なところもありました。自分からパッパと涼しい格好にあっという間になると歌が苦手の彼女は、羅百吉や芭比、溫嵐の跳舞系の曲を控器で10曲以上どんどん入れて、麻衣と私の手をとって、踊り出しました。マイクを使わず、地声で歌えば歌が苦手でもOKということもありました。覚えているのは多分、次のような曲。

「一起跳舞吧!!」 (一緒に踊ろうよ!!)

 

  

  

 


最初は恥ずかしがっていましたが、麻衣と私も彩虹の底抜けの明るさと可愛さに負けて、一緒に跳舞を始めました。彩虹が今日、初めての上班で、いつも一緒に包廂にいる正職のお姉さん小姐のように気を遣わなくても良かったことも麻衣の気持ちを後押ししたように思います。それと彩虹はカラッとした明るさがあり、細かいことを気にしない子で、麻衣も一緒にいて気楽だったのでしょう。

この日、おとなしいとばかり思っていた麻衣が跳舞するのも初めて見ましたが、それがとてもうまくて彩虹もびっくり。麻衣が楽しそうに心底からはじけて笑顔を見せているのもこの時、初めて見ました。貝貝は芊芊とは異なり、跳舞は苦手で、麻衣と一緒にいても2人が跳舞をするのは見たことはありませんでした。私は最初の秀舞をいつもしてもらわないので、その機会すらありませんでした。従って、麻衣が自ら積極的に跳舞することはそのため、まったくもってなかったのですが、実は麻衣は跳舞がとても得意でした。ただ、跳舞が苦手で好きではない貝貝に合わせて、一度も踊ろうとしていなかったのが実のところだったのです。

432

この酒店での麻衣の花名は心情なのですが、私も「麻衣」と以前の名前で呼ぶため、いつの間にか彩虹も「麻衣」と呼ぶようになっていました。

「麻衣、很好的!」 (麻衣、とってもうまいじゃんか!)

彩虹がダンスミュージックの大音響が響き渡る包廂で麻衣に向かって大声で叫びました。

「哈哈哈、還好的」 (ハハハ、まあまあだけどね)

麻衣の心の封印が彩虹の手によって解かれ、彼女は自分の気持ちを開き始め、輝き出しました。

「麻衣、你很好的!」 (麻衣、とってもうまいんだ!)

私も彩虹と同じように大声で踊りまくる麻衣に向かって踊りながら叫びました。

「今天、我的心情、很開心。謝謝大家!」 (今日はとってもハッピー。みんなありがとね!)

麻衣も大きな声で私と彩虹に答えました。

 

 

結局、実はこの日は彼女たちが下班する2時までほぼ、跳舞し通し。10分ぐらい啤酒を飲んで、休むのですが、その間に話をして、また、跳舞という感じでした。麻衣の包廂での弾けるような笑顔がそこにはあって、最後の方には今までまったくすることがなかった麻衣自身が控器(リモコン)をとってKTVに點(曲をいれること)をしていました。

そして、この日をきっかけにこの年の暑假の前半、私は麻衣と彩虹とのかかわりを深くもつようになっていきます。
彼女たちとの心の交流の日々は、また、追々ブログの中で紹介していていこうと思っています。

dance

 なお、ブログの記事に関係ある画像を貼っていきますが、絶対に撮影は禁止ですので、ご注意ください。これらの写真は本人やその友人、酒店のスタッフや幹部、または本人や私、友人が撮影し、私に提供してくれている特別なものばかりです。また、画像の無断使用や流用については絶対に禁止です。ご理解をよろしくお願いします。    
 
 このブログは元々、台妹と良い心の交流をもちたいと思っている、あるBBSでご賛同いただいた方々に情報提供する目的で始めましたので、画像等も一定期間をすぎたらほとんどをプライベートモードにしております。プライベートモードは私が友達認証した方が入れますが、コメントなどをお書きいただいたり、メールなどを通じて交流などを深め、ご信頼した方を対象にさせていただいております。酒店と同じような形で一見の方はすぐに認証はできませんので、何度かやりとりをさせていただいてからになります。ご理解のほど、お願いいたします。  

 以下の内容はお友達登録している方または私がパスワードをお渡しした方のみが閲覧可能です。
 右下のプロフィールからお友達申請をしていただき認証を得ていただくか、メールをご送信ください。   
続きを読む