3月29日、加菲から突然、私の小機に簡訊が届きました。彼女が嘘をつき、經紀人のVickyに一喝された最後の10分以来、彼女とは会っていませんでした。しかし、酒店に新たな副店長が来て、35節以下の公關一覧には加菲の名前が掲載されていて、もうここでは続けられないだろうとは思っていました。基本的にほとんど社会性がなく、人とうまくかかわれないところがある加菲の性格ではこのようなサービス業自体続けていくことが無理でした。 きっとクビを言い渡されたのでしょう。

「XX先生、這是我求你幫助最後一次、好不好。
拜託 拜託 !但是請不要和幹部、經紀人!好嗎? 拜託! 」

XXさん、私は最後にもう一度だけ私を助けて欲しいことがあるの、いい?
お願いお願い!但し、幹部と經紀人には話さないで!大丈夫?お願い!

私はすぐに加菲に電話をしました。酒店をクビになり、4月15日に返す最初の返金を待って欲しいとの頼みかと思っていました。しかし、内容は違っていました。彼女は酒店に入る際も經紀人に前金(バンス)をもらっており、その額は6万元。しかし、まだ、全部返すことができておらず、1万5千元の借りが残っていたのです。それを返さない限りは、今の酒店がクビになっても新たな酒店で働かなければならず、經紀人との契約が未履行となり、多額の違約金を支払うことになるという事情でした。従って、その1万5千元を立て替えて欲しいという話でした。

私は、しかし、嘘を最後に言ってまで酒店の勤めを逃れようとした加菲を信用することはできませんでした。彼女にはその事を伝え、加菲が誠意を見せない限り、再び信用することはできないし、助けることができないと話しました。彼女は「没關係」と言って最後に電話を切ってしまいました。4月15日の返金の約束を彼女はどうするのだろう?と思っていました。返金されるされないということよりも彼女の今後の人生への向き合い方や人との関わり方の方が気になりました。それは加菲があまりにも社会的に未熟だったからです。

その後、しばらく経った4月8日、加菲からのE-mailが突然、届きました。最初にお金を返すと彼女が約束した4月15日まであと一週間でした。

「XX先生你好!
我是XX。今天我是要向你說明。
我已離開了○○○。
我現在正在找白天的工作。
關於醫藥費的欠款、我想等白天的工作找到我在環錢可以嗎?
其實我知道你已經不像最初那像的喜歡。
我現在寶貝已回到○○○。我想她才是你最喜歡的。
現在我只希望你能好好的照顧你的身體。
你跟我說過的話我會永遠記在心理。
我也會好好的保持我的信用。
再來。謝謝你幫助過我。XX」

XXさん、こんにちは。 
私はXX(加菲の本名)だよ。今日、私はあなたに話しておかなければならないことがあるんだ。
私はすでに○○○(酒店の名前)をやめました。
私は今、昼間の仕事を探しているところです。
医療費に関係する借金、私が昼間の仕事を見つけるまで返金を持ってもらいたいんだ。
実は私はあなたがすでに最初私を好きだったときとちがうように思っていることを知っているよ。
現在、 寶貝も○○○に戻ってきた。私が思うに彼女こそ、あなたが一番好きな子だ。
現在、私はただ、あなたが自分の体を大切にしてくれることだけを望んでいる。
あなたと私が話したことは私の心の中に永遠に記憶されているよ。
私もとても私の信用を維持していくことができるから。
さようなら。私を助けてくれてありがとう。XX(彼女の本名)

E-mailを受け取った私は加菲はもう、私と一切、逢わないようにするつもりだと思いました。それと2月に酒店を去っていた寶貝が、また戻ってきていたことも知りませんでした。震洲に訊ねたところ、実際には寶貝は戻ってきておらず、私が加菲と逢うきっかけとなった寶貝の名前を彼女は覚えていて、そちらに気をそらそうとする嘘でした。

私は經紀人のVickyにもすぐに連絡をとりましたが、やはり彼女はバンスの未返還金分を支払っておらず、Vickyも加菲を追っていました。予想通り、酒店の業績が加菲は1日平均30節にも満たず、2週間続けて業績を落とした彼女は「やる気がない」公關としてクビを酒店公司から言い渡されていました。

実際には新たに来た副店長は極めて人心掌握にたけており、聡明でしたから、35節を2週続けて切っている公關も前週よりも1節でも業績を上げていればクビにはしていませんでした。すなわち、前週が25節でピンチであることを女の子たちが認識して、少なくとも上班する日数や時間を延ばせば、少しは業績が伸びる可能性が高く、次の週に30節であったとしてもその努力を認め、酒店に留まらせていたのです。当然、クビと思っていた女の子たちはそこで感謝の気持ちをもち、「がんばれば店においてもらえるんだ」という気持ちをもたせ、やる気を引き出していたのです。しかし、加菲はそれにさえ気づかず、自分の立場が職を失うピンチであるという土俵際であることにもわからず、ずるずると業績を落としていったのです。

身分證のコピーを私は持っていて加菲の住所もわかっていましたが、Vickyと錦州路の麥當勞で逢い、これからの加菲の処遇を相談することにしました。Vickyは人格者であり、バンスの返金よりも私と同じで彼女のその場しのぎの嘘やごまかし、すぐに逃避しようとする彼女の姿勢に大きな課題を見いだしていました。努力して困難に打ち勝とうとする姿勢が極端になく、その資質を培わない限り、彼女はどこへ行っても信用されず、失敗していくだろうという考え方は私とまったく同じでした。 

とりあえず、返金の約束をした4月15日の夜11時に錦州路の麥當勞で待っているという簡訊を送ったものの、まったく返信もなく、電話にもでません。經紀人のVickyと4月15日の夜10時30分に麥當勞で待ち合わせ、加菲を待ちましたが、結局、Vickyと予想した通り、彼女は約束の時間になっても現れず、連絡もありませんでした。12時頃までVickyと麥當勞でゆっくりと話をしたのですが、そこで彼女は驚くべき提案を私にしました。それは夜の世界の少し非合法なやり方をとるであろうと思っていた私には衝撃でした。

「你協商跟外事警察比較好」(外事警察に相談するのがいいよ)

私は特に返金にはこだわっていなかったので、Vickyにそこまではというような話をしました。しかし、彼女は冷静でした。すなわち、この程度ならば、普通の警察や裁判所は真剣に取り組まないから、外国人でよくわけがわからなかったからということで相談すれば良いと言うのです。それは事件ではなく、相談だから彼女が逮捕されるようなことには絶対にならないし、外事警察は加菲を指導して約束を守るように促すだけだからと言いました。Vickyは仮にも娯楽公司というれっきとしたいわゆる娯楽関係のマネージメントを取り扱う企業の社員でしたから、私が連絡してあなたの名前を出さずに私の顧客の外国人が困っているという形の相談にすれば問題ないと話しました。さらに外事警察は彼女にその相談が嘘か本当かの確かめの連絡を加菲にするはずだから、効果覿面と言いました。彼女は社会的なことや手続きがよくわからないから、確かめの電話があっただけできっとびっくりして指導に従うよと笑っていました。特に彼女の家は信用破産を家族全員がしているから、そのような連絡にはとても弱いはずとも踏んでいたのです。多分、私が思うにこのようなことは山ほどあってVickyはそのあたりの見通しが持てたのでしょう。 

Vickyが繰り返し強調したのは、「加菲を預かった者の責任として、しっかりと社会でやっていけるようにする」という信念でした。だから、彼女は私に対して「お金がもどらない可能性も高いから、その時はあきらめて」と繰り返し強調しました。しかし、お金がどうせ戻らないなら加菲を放置してもいいかというと私たちはそれではいけない、あなたはしっかりとした人間だから一緒に手伝って欲しいとも言いました。お金を戻すことよりも加菲を真人間にして過ちを繰り返さないようにすることこそが彼女にかかわった私たちの役割と私に説明をしました。

そして、4月15日夜のこのVickyの提案を私は受け入れることにしました。それは加菲のためでもあったのですが、もうひとつ大きな理由は私がVickyの姿勢に感銘を受けたからです。いろいろな女の子を相手にしている彼女のポリシーはいつもまっすぐで揺らぐことがありませんでした。私より遙かに年下なのですが、彼女の言葉にはいつも意味があり、重みがありました。それは表現しにくいのですが、「折れない気持ち」というか「揺るぎない信念」というか、そんな透き通った、澄み切った強い気持ちに裏打ちされていたからだと思っています。

麥當勞をVickyとともに出るとそこにはいつものような喧噪がありました。
放っておいてもいい加菲のことを真剣に心配している人がいる。それは加菲にとっても幸せなことだと私は思いました。
Vickyの言葉は時として魔法のような力があります。彼女は夜の世界のまぎれもない住人。
しかし、きっとそこには「迷人的危險」があり、それが私を魅了していたのでしょう。



 前章で貼った画像と同じ酒店の大廳です。実は酒店にはそれぞれ系列があって、酒店公司が制服店、禮服店などを同時に経営していて、系列の中でアメーバーのように店の様態を変化させ、女の子たちの移動もしています。この酒店は以前は京天地という制服店、その後、晶華という禮服店でした。京天地の公關の子たちは禮服店に変わった時に系列の幻想的な包廂のある制服店に移っていて、その時期はすごい数の公關がその店にはいて、女の子を選ぶ選択肢が極めて豊富でした。スタッフと親しくしているとそのような店の改変の情報を事前に得ることができて、良い時期を逃さずに行くことができます。

 このブログは元々、台妹と良い心の交流をもちたいと思っている、あるBBSでご賛同いただいた方々に情報提供する目的で始めましたので、画像等も一定期間をすぎたらほとんどをプライベートモードにしております。プライベートモードは私が友達認証した方が入れますが、コメントなどをお書きいただいたり、メールなどを通じて交流などを深め、ご信頼した方を対象にさせていただいております。酒店と同じような形で一見の方はすぐに認証はできませんので、何度かやりとりをさせていただいてからになります。ご理解のほど、お願いいたします。   

 なお、ブログの記事に関係ある画像を貼っていきますが、絶対に撮影は禁止ですので、ご注意ください。これらの写真は酒店のスタッフや幹部が撮影し、私に提供してくれている特別なものばかりです。また、画像の無断使用や流用については絶対に禁止です。ご理解をよろしくお願いします。 

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