先週末は欧州危機が再燃し、ユーロの状況は大きな試練を迎えています。ギリシャの選挙が終り、ギリシャがユーロ圏にとどまることは確認されたものの、有効な打開策はなく、先が見えない状態が続いています。しかし、今週末になってスペインの経済危機がさらに表面化して、ユーロは現在11年8ヶ月ぶりの最安値となる異常な事態に突入しました。
7月20日の金曜日、ロンドン市場から始まったユーロ下落の流れをニューヨーク市場も受け継ぎ、ニューヨーク株式は大幅に反落、全面安に転じ、さらに欧州各国の株式も同時に大幅下落しました。スペイン株式市場のIBEX指数は、前日終値比5.9%安で取引を終えたほか、スペインとともに財政再建問題を抱えるイタリアの株式指数も4.4%安と大きく値を下げました。これは本当に大変なことです。「灰色の金曜日」と言っても過言ではありません。
現在、週末で為替市場は手じまいしていますが、1ユーロは95.3円レベル。
2週間前にはギリシャ問題の小康状態以降、100円を超え、6月29日、3週間前の金曜日には101円を突破していましたから、急速な下落です。日本円のユーロ建てはほぼ難しい状態になっていて、打開策が見えません。すなわち、例えば日本での日本車価格が200万円だったとしたら、2週間前までは20000ユーロでした。しかし、現在、20000ユーロは約190万円にしか届かない状況です。1億円や2億円といった大口の契約計算となれば、当然、輸出産業にとっては、さらに損失は拡大していきます。デフォルト(債務不履行)の不安すら現実味を帯びてきました。
米ドルとのクロス円にユーロ・円はなっていますから、ユーロ・ドルも同時に大下落していて1.21台を低迷していること、さらにはリスク回避のための各主要通貨における円買いと悪い状況が重なっています。スイスフランや南アフリカランドもユーロ同様に大下落、イギリスポンドも大幅に下げ、資源国通貨であり、このところユーロのキャリー取引で安定して高値をつけていた豪ドルも急落しました。
ユーロの2週間でこれほどの変動、さらには11年8ヶ月ぶりの最低水準は誰もが簡単には予想できませんでした。11年8ヶ月前、かつての最低価格は1ユーロ88円ですが、これはユーロ創世期につけたまだ、ユーロ自体が国際通貨としての信頼が脆弱だった時のことです。欧州の主要通貨としてユーロが定着した今、以前の最低価格と時とは事情が異なり、事実上の最低水準と言っても過言ではありません。1ユーロが95円の大台をついに割るという可能性はもう、現実的になってきています。
スペインの国債はここに来て利回りが急上昇していて、危険水域の7%はすでに突破しており、さらにギリシャへの懸念は消えておらず、イタリア、ポルトガル、アイルランドとさらに財政に不安を抱える国(PIIGS諸国)もあり、欧州危機の再燃と広がりが現実的な問題となってきました。第2のリーマンショックの可能性も今は現実の問題として囁かれ始めています。
利回りが上がるとどうして危険なのかは経済事情に詳しくない方にはわかりにくいかもしれません。利息が上がるのにどうして経済情勢が良くないのか?という疑問があると思います。国債というのは国が保障する債権ですから各国の国債は国際的に市場で活発に売り買いされています。
例えばある国が額面100円で2%の利回りで債権を売り出したとします。しかし、その後、その国の財政に不安が生じた場合、デフォルトや利回りが払いもどされないのではないかという不安もあり、大きく損をする前に95円に値下げしてでも売りたい(これを損切りと一般に言います)という人が現れ、大手の金融機関なども含み損を最小限にするために売りに出します。実際に7%を越えると国は利息を支払うことができなくなると言われており、新たな国債を発行できなくなり、さらに資金調達に行き詰まると言われています。そうなるとさらに大きく損をしないうちに少し損をしても売りたい人や企業が多くなり、利回りがさらに上昇します。国は一層、国債購入者に高くなった利息+元本を支払うことができず、最悪はデフォルト(債務不履行)に陥る不安がより募るという最悪のスパイラルとなっていきます。
すなわちハイリスクながら100円の国債を安く95円で買った人は国債の払い戻しをする時、額面通りの100円の返金を受ける権利を有し、さらに利息の2円も受け取りますから、この買った人の実質的な利回りは7円となります。つまり買った金額の95円に対して実質7%の利回りを受け取ることになり、利回りの上昇はどんどんハイリスク・ハイリターンとなっていくわけです。巨額の資金投入をする国債などはリスクを恐れる人の方が圧倒的に多いですから。売りたい人>買いたい人となり、どんどん売られ、価格は急落していきます。
また、新たに国債をある国が新規に売り出しても財政に不安がある国に資金投資しようとする人はリスクを恐れて多くはないですから、国も高い利回りを設定しないと国債を買ってくれる人がなかなか現れません。しかし、以前の国債の返金をするために多額の資金がどんどん必要ですから、世界中から資金を集めるため利回りがハイリターンの設定をせざるを得ないのです。 どうしても金が無いとき、現在の借金を返す約束を果たすため、高い利息で返金を約束してもまた金を集めなければならないという状況が生じているわけです。
従って、国債の利回りが大きくなればなるほど、取引されている国債の売りが多くて実勢価格が下がっており、財政状況が悪化しているというバロメーターになるわけです。一般に危険水域は利回りの7%と言われるのは、このレベルを越すと借金を返すためにさらに大きな借金を重ねるという自転車操業状態が限界ギリギリとなり、借金は増えても減りません。そのためどんどん利回りが8%,9%と10%と底なしに高くなれば、ついには国家の財政破綻という最悪のシナリオが待っています。
これを国家の替りに銀行に置き換えて見ると、銀行の破綻のシナリオがよくわかります。現在、スペインの銀行が多くの含み損の不良債権をかかえています。国が公定金利の緩和政策などを行っても立ち直れないため、それが行政単位にも波及、そして国家レベルにも波及しかけているのが、今のスペインです。
7月20日のスペイン国債はこの危険水域をついに越えたため、国債という国家の借金が返すことができず、スペイン国債が不良債権化する可能性が極めて高くなりました。国債所有者の含み損が一気に上昇したという状況です。 状況を打開するには他国による金融支援を依頼して、ドイツなどユーロ圏の国から資金支援を得るしか方法がなくなってきていました。
先ほども述べましたが、欧州版リーマンショックは噂ではなく、現実になるかもしれません。
世界経済の金融システムの再構成が今ほど求められていることはありません。スペインの破綻はギリシャとはその規模が桁違いに大きく、欧州全土が資金不足に陥り、世界の多くの国債が同時に破綻、デフォルト(債務不履行)の危機や不安に対する恐怖は国際的な仕事をしている企業人ならば、感覚でわかるのではないでしょうか。
7月20日の金曜日、ロンドン市場から始まったユーロ下落の流れをニューヨーク市場も受け継ぎ、ニューヨーク株式は大幅に反落、全面安に転じ、さらに欧州各国の株式も同時に大幅下落しました。スペイン株式市場のIBEX指数は、前日終値比5.9%安で取引を終えたほか、スペインとともに財政再建問題を抱えるイタリアの株式指数も4.4%安と大きく値を下げました。これは本当に大変なことです。「灰色の金曜日」と言っても過言ではありません。
現在、週末で為替市場は手じまいしていますが、1ユーロは95.3円レベル。
2週間前にはギリシャ問題の小康状態以降、100円を超え、6月29日、3週間前の金曜日には101円を突破していましたから、急速な下落です。日本円のユーロ建てはほぼ難しい状態になっていて、打開策が見えません。すなわち、例えば日本での日本車価格が200万円だったとしたら、2週間前までは20000ユーロでした。しかし、現在、20000ユーロは約190万円にしか届かない状況です。1億円や2億円といった大口の契約計算となれば、当然、輸出産業にとっては、さらに損失は拡大していきます。デフォルト(債務不履行)の不安すら現実味を帯びてきました。
米ドルとのクロス円にユーロ・円はなっていますから、ユーロ・ドルも同時に大下落していて1.21台を低迷していること、さらにはリスク回避のための各主要通貨における円買いと悪い状況が重なっています。スイスフランや南アフリカランドもユーロ同様に大下落、イギリスポンドも大幅に下げ、資源国通貨であり、このところユーロのキャリー取引で安定して高値をつけていた豪ドルも急落しました。
ユーロの2週間でこれほどの変動、さらには11年8ヶ月ぶりの最低水準は誰もが簡単には予想できませんでした。11年8ヶ月前、かつての最低価格は1ユーロ88円ですが、これはユーロ創世期につけたまだ、ユーロ自体が国際通貨としての信頼が脆弱だった時のことです。欧州の主要通貨としてユーロが定着した今、以前の最低価格と時とは事情が異なり、事実上の最低水準と言っても過言ではありません。1ユーロが95円の大台をついに割るという可能性はもう、現実的になってきています。
スペインの国債はここに来て利回りが急上昇していて、危険水域の7%はすでに突破しており、さらにギリシャへの懸念は消えておらず、イタリア、ポルトガル、アイルランドとさらに財政に不安を抱える国(PIIGS諸国)もあり、欧州危機の再燃と広がりが現実的な問題となってきました。第2のリーマンショックの可能性も今は現実の問題として囁かれ始めています。
利回りが上がるとどうして危険なのかは経済事情に詳しくない方にはわかりにくいかもしれません。利息が上がるのにどうして経済情勢が良くないのか?という疑問があると思います。国債というのは国が保障する債権ですから各国の国債は国際的に市場で活発に売り買いされています。
例えばある国が額面100円で2%の利回りで債権を売り出したとします。しかし、その後、その国の財政に不安が生じた場合、デフォルトや利回りが払いもどされないのではないかという不安もあり、大きく損をする前に95円に値下げしてでも売りたい(これを損切りと一般に言います)という人が現れ、大手の金融機関なども含み損を最小限にするために売りに出します。実際に7%を越えると国は利息を支払うことができなくなると言われており、新たな国債を発行できなくなり、さらに資金調達に行き詰まると言われています。そうなるとさらに大きく損をしないうちに少し損をしても売りたい人や企業が多くなり、利回りがさらに上昇します。国は一層、国債購入者に高くなった利息+元本を支払うことができず、最悪はデフォルト(債務不履行)に陥る不安がより募るという最悪のスパイラルとなっていきます。
すなわちハイリスクながら100円の国債を安く95円で買った人は国債の払い戻しをする時、額面通りの100円の返金を受ける権利を有し、さらに利息の2円も受け取りますから、この買った人の実質的な利回りは7円となります。つまり買った金額の95円に対して実質7%の利回りを受け取ることになり、利回りの上昇はどんどんハイリスク・ハイリターンとなっていくわけです。巨額の資金投入をする国債などはリスクを恐れる人の方が圧倒的に多いですから。売りたい人>買いたい人となり、どんどん売られ、価格は急落していきます。
また、新たに国債をある国が新規に売り出しても財政に不安がある国に資金投資しようとする人はリスクを恐れて多くはないですから、国も高い利回りを設定しないと国債を買ってくれる人がなかなか現れません。しかし、以前の国債の返金をするために多額の資金がどんどん必要ですから、世界中から資金を集めるため利回りがハイリターンの設定をせざるを得ないのです。 どうしても金が無いとき、現在の借金を返す約束を果たすため、高い利息で返金を約束してもまた金を集めなければならないという状況が生じているわけです。
従って、国債の利回りが大きくなればなるほど、取引されている国債の売りが多くて実勢価格が下がっており、財政状況が悪化しているというバロメーターになるわけです。一般に危険水域は利回りの7%と言われるのは、このレベルを越すと借金を返すためにさらに大きな借金を重ねるという自転車操業状態が限界ギリギリとなり、借金は増えても減りません。そのためどんどん利回りが8%,9%と10%と底なしに高くなれば、ついには国家の財政破綻という最悪のシナリオが待っています。
これを国家の替りに銀行に置き換えて見ると、銀行の破綻のシナリオがよくわかります。現在、スペインの銀行が多くの含み損の不良債権をかかえています。国が公定金利の緩和政策などを行っても立ち直れないため、それが行政単位にも波及、そして国家レベルにも波及しかけているのが、今のスペインです。
7月20日のスペイン国債はこの危険水域をついに越えたため、国債という国家の借金が返すことができず、スペイン国債が不良債権化する可能性が極めて高くなりました。国債所有者の含み損が一気に上昇したという状況です。 状況を打開するには他国による金融支援を依頼して、ドイツなどユーロ圏の国から資金支援を得るしか方法がなくなってきていました。
先ほども述べましたが、欧州版リーマンショックは噂ではなく、現実になるかもしれません。
世界経済の金融システムの再構成が今ほど求められていることはありません。スペインの破綻はギリシャとはその規模が桁違いに大きく、欧州全土が資金不足に陥り、世界の多くの国債が同時に破綻、デフォルト(債務不履行)の危機や不安に対する恐怖は国際的な仕事をしている企業人ならば、感覚でわかるのではないでしょうか。
当然ながら、欧州連合(EU、27カ国)でユーロを採用しているユーロ圏諸国(17カ国)の財務相は20日、緊急に電話協議を開き、スペインへの金融支援を正式決定しました。しかし、スペイン国債を売る動きは止まらず、指標となる10年物国債の利回りは7.3%と、99年のユーロ導入以来、最高の水準にまで上昇(価格は下落)。普通金融支援すれば、有る程度、安心感が市場に蔓延して落ち着くのですが、今回は金融支援によっても、懸念はまったく沈静化していない状況です。いかにユーロ全体の信頼感がなくなり、不安が増強されているかという形が20日は顕在化しました。
スペインの次はイタリアという大きな借金国が控えていますから、欧州全体でもカバーできない可能性への不安も大きく、問題はユーロ圏すべての財政問題に波及しつつあります。どのユーロ諸国ももうスペインや次に控えるイタリアを助ける余力が十分になくなってきていると世界は見ています。
スペインへの支援は、最大1000億ユーロ(約10兆円)規模で、金融機関の資本増強に使い道を限定しています。EUの金融安全網である欧州金融安定化基金(EFSF)が7月中に、当面の資金として300億ユーロを払い込み、スペインの金融機関の健全性審査(ストレステスト)がまとまる9月以後、改めて支援額を精査することになりましたが、スペインは、不動産・建設バブルの崩壊で、金融機関の不良債権が、5月には資産の9%にまで上昇し、資本増強が求められている状況です。
しかし、モントロ予算相が19日の議会で「行政サービスのお金が国庫にない」と演説するなど国家財政も危機的状況にある。このため、EUからの支援に頼るほかありませんでした。ラホイ政権は19日、付加価値税(日本の消費税に相当)引き上げや、公務員給与カットなどの歳出削減を盛り込んだ総額650億ユーロの財政再建策をまとめましたが、しかし、今年4~6月期の不動産価格は前年同期比8.3%も下落。今年の成長率は政府予測でマイナス1.5%、来年もマイナス0.5%と厳しい状況が続いており、道程は険しいと言わざるを得ません。しかし、ドイツなど、支援側の諸国が慎重姿勢を崩しておらず、ギリシャのように、国家財政を含めた包括的な大規模支援に追い込まれるのではとの観測も現在は浮上しています。
ユーロの将来 公益財団法人 国際通貨研究所 山口 綾子氏の分析
一方、米ドルも78.5円附近を低迷し、80円台に乗るまでにはまだまだ、時間がかかるという見通しで、ユーロドルの低迷とリスク回避のための円高傾向が簡単には消えない状態になっています。アメリカによるQE3(第3次金融緩和政策)がいつ実施されるかという期待感もあるのですが、欧州危機を見据えての慎重な姿勢をアメリカも崩しておらず、ハイテク株の上昇や主要産業の決算結果も比較的良好であるなどの好材料もあるものの、アメリカ経済の低迷脱却もまだ先が見えない状態となっています。
このまま、再びリスク回避の傾向が続き、円高傾向が維持され、さらに加速するならば・・・・・。
そして巨額の資金を必要とするスペインとイタリアの破綻が見えてきたならば・・・・・。
7月20日のYOMIURI ONLINEにユーロの主要国、ドイツを表現したこんな文章が書かれていました。
ワールドカップ南アフリカ大会やユーロ選手権で見せた自由奔放なスペインのサッカーは素晴らしく、人々を魅了するものでした。決勝でイタリアを4-0でくだした鮮やかなスペインのポゼッショニングフットボール同様、国家というチームワークでこの危機を乗り越えられるかどうか、大きな試練の時を今迎えています。
週明けの各国の対応や市場の動向、そしてこれからの欧州とアメリカ、日本。
ポルトガル、ギリシャから火が付いた欧州危機はついにスペインに点火し、イタリアにも飛び火しようとしています。
世界同時恐慌、世界同時危機にならない全力の対応を各国の首脳に期待し、心から祈るしかありません。
スペインの次はイタリアという大きな借金国が控えていますから、欧州全体でもカバーできない可能性への不安も大きく、問題はユーロ圏すべての財政問題に波及しつつあります。どのユーロ諸国ももうスペインや次に控えるイタリアを助ける余力が十分になくなってきていると世界は見ています。
スペインへの支援は、最大1000億ユーロ(約10兆円)規模で、金融機関の資本増強に使い道を限定しています。EUの金融安全網である欧州金融安定化基金(EFSF)が7月中に、当面の資金として300億ユーロを払い込み、スペインの金融機関の健全性審査(ストレステスト)がまとまる9月以後、改めて支援額を精査することになりましたが、スペインは、不動産・建設バブルの崩壊で、金融機関の不良債権が、5月には資産の9%にまで上昇し、資本増強が求められている状況です。
しかし、モントロ予算相が19日の議会で「行政サービスのお金が国庫にない」と演説するなど国家財政も危機的状況にある。このため、EUからの支援に頼るほかありませんでした。ラホイ政権は19日、付加価値税(日本の消費税に相当)引き上げや、公務員給与カットなどの歳出削減を盛り込んだ総額650億ユーロの財政再建策をまとめましたが、しかし、今年4~6月期の不動産価格は前年同期比8.3%も下落。今年の成長率は政府予測でマイナス1.5%、来年もマイナス0.5%と厳しい状況が続いており、道程は険しいと言わざるを得ません。しかし、ドイツなど、支援側の諸国が慎重姿勢を崩しておらず、ギリシャのように、国家財政を含めた包括的な大規模支援に追い込まれるのではとの観測も現在は浮上しています。
ユーロの将来 公益財団法人 国際通貨研究所 山口 綾子氏の分析
一方、米ドルも78.5円附近を低迷し、80円台に乗るまでにはまだまだ、時間がかかるという見通しで、ユーロドルの低迷とリスク回避のための円高傾向が簡単には消えない状態になっています。アメリカによるQE3(第3次金融緩和政策)がいつ実施されるかという期待感もあるのですが、欧州危機を見据えての慎重な姿勢をアメリカも崩しておらず、ハイテク株の上昇や主要産業の決算結果も比較的良好であるなどの好材料もあるものの、アメリカ経済の低迷脱却もまだ先が見えない状態となっています。
このまま、再びリスク回避の傾向が続き、円高傾向が維持され、さらに加速するならば・・・・・。
そして巨額の資金を必要とするスペインとイタリアの破綻が見えてきたならば・・・・・。
7月20日のYOMIURI ONLINEにユーロの主要国、ドイツを表現したこんな文章が書かれていました。
たとえば、イタリア人など地中海人種は今を楽しみ、先の心配をしません。これに対し、ドイツ人は将来の保障と安定を第一に考えます。その違いは、生命保険や損害保険の普及度の違いにも表れます。無秩序と秩序、あけっぴろげな欲望表現と屈折した欲望表現、外面の良さと悪さ、快活と憂鬱(ゆううつ)、所有権や義務意識の希薄さと濃厚さなど、南北欧州人の気質の違いを挙げれば、きりがありません。
現在のユーロ危機は、浪費癖のある女性(南欧の国々)と倹約家の男性(ドイツなど北部ヨーロッパの国々)が一緒になってはみたものの、互いの気質の違いに改めて気づき、離婚を考えているようなものなのでしょう。
ワールドカップ南アフリカ大会やユーロ選手権で見せた自由奔放なスペインのサッカーは素晴らしく、人々を魅了するものでした。決勝でイタリアを4-0でくだした鮮やかなスペインのポゼッショニングフットボール同様、国家というチームワークでこの危機を乗り越えられるかどうか、大きな試練の時を今迎えています。
週明けの各国の対応や市場の動向、そしてこれからの欧州とアメリカ、日本。
ポルトガル、ギリシャから火が付いた欧州危機はついにスペインに点火し、イタリアにも飛び火しようとしています。
世界同時恐慌、世界同時危機にならない全力の対応を各国の首脳に期待し、心から祈るしかありません。