1月1日に始めたこのブログもこれが第150話になりました。

多くの方から応援やありがたいコメントをいただき、私も仕事の合間を見てちょこちょこアップしてきた甲斐があるかなと思っています。少しずつ見てくれる方も増えてきて、最近では毎日100名前後の方が見ていただいています。台湾の夜世界や酒店を軸にして、そこでつながりをもった子たちとの心の交流を深める日々の思い出を通しながら、現在の台湾の文化や社会、ちょっといいかげんな中国語の俗語などを紹介しながら台湾を愛する人を増やしていこうという目的も少しは達成されているかな?
今後もご支援いただけると励みになりますので、よろしくご声援ください。

第100話は私が最も印象に残った台妹、芊芊との出逢いの話でしたが、区切りの150話は芊芊が私に送ってくれた素晴らしい禮物を書こうと思っていました。それは形には残らないけど、心にいつまでも焼き付く素晴らしい禮物でした。

人影の少ない黄昏時の文化大學に到着した私たち。芊芊はうれしそうに大學の建物や地理について説明を一生懸命してくれました。私は台湾の大学に仕事で行くことはごくたまにあるのですが、詳しくいろいろと説明をしてもらったのは芊芊からのこの時が初めてでした。

そして、芊芊は私の手を引っ張って、どんどん歩いていきます。

「我給你很好的禮物!!」 (私がとっておきのプレゼントをあなたにあげる!!)

彼女が私を連れて行ったのは巨大で近代的な大学の體育館の前の所でした。道路を渡るとちょっとした石の低い塀があって、近くにはベンチや望遠鏡があるテラスもあります。

時間は夜の7時近く。空はだんだんと暗くなり、巨大な體育館の電灯が輝きだしていました。
そして、先ほどまで明るかった空が漆黒の闇に変り出すとともに、そこには素晴らしい光景が映し出されました。 

夜景13

夜景12

いつの間にか、まわりは若いアベックや学生の団体がいっぱいいて、この素晴らしい景色に見入っています。

夜景2

夜景9

夜景7

「XX先生、有感動嗎?」 (XXさん、感動した?)

芊芊は手をつなぎながら、そっと囁くように言いました。

「恩、恩。很心動的。謝謝、芊芊」 (うん、うん、とても心が動くよ。ありがとう、芊芊)

いつも元気でお茶目な芊芊も口数が少なく、夜景の余韻にひたっているようでした。芊芊が私に見せたかったもの、そして送りたかったものは自分のいる大學から見える素晴らしい台北の夜景でした。

「你喜歡台湾嗎?你是日本人、可是你常常努力學習台湾的文化。我知道了。所以我想介紹台湾的文化、台湾的社會。雖然我認識你在酒店、但我們是朋友的。你給我溫柔的心、所以我也給你我的最好的禮物、心意。我、多感謝你。你幫忙我、這陣子我很開心、很快樂的。我的心不是孤獨、你很關心我的心、我覺得珍借你」

(あなたは台湾が好き?日本人なのにいつも台湾のことをいっぱい知ろうとしているよね、私はわかっているんだ。だから私もあなたに台湾の文化や社会のこと、 いっぱい紹介したいんだ。私たちは酒店で知り合ったけど、友達だよね。あなたはいつも私にやさしさをくれる、だから私もあなたに一番の気持ちのこもった送りものをしたかったんだ。本当に多くのこと、感謝してるよ。私を助けてくれて、この頃、私はとってもハッピーだし、楽しいよ。だって私は一人じゃない、孤独じゃないんだから。あなたが私に気遣ってくれるように、私もあなたのこと、大切に思っているよ)

私はあまりにも美しい光景を見たこと、そして、天気のいい日を選び、時間を計算して、美しい台湾の自然を紹介しながら、夕暮れから夜に変るこの時間に到着するように一緒に陽明山を登る算段をしてくれた芊芊の心意が胸に響き、ちょっと涙が出てしまいました。

彼女とは酒店で出逢って以来、愛人でもなく、恋人でもない、娘のような接し方をしてきました。孤独で本当は寂しがり屋の彼女の気持ちが逢う度にわかって、少しでもこの大都会・台北で偶然、知り合った外国人が気持ちを支えてあげることができたら、彼女もきっとこれからも長い人生、ちょっと躓いてもがんばって生きていってくれるにちがいないという気持ちでした。もちろん、芊芊はとても可愛らしく、一緒にいて楽しい子だったこともありますが、客人の前で見せる偽りの笑顔を本当の笑顔にしたいという願いもありました。

芊芊からの禮物。

それは形はないけど、いつまでも心に残る素敵な時間、そして決して忘れることがない、まるで宝石をちりばめたような台北の美しい夜景でした。

謝謝、芊芊。我不忘記你的心意永遠。

夜景10

夜景5