莉莉と僕は晩夏の暗がりの街に向かって歩き出しました。大陸は全体的に街灯が暗く、上海のような大都会でも少し喧騒のある中心部をはずれると暗い夜道が続きます。

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聴覚障害のある彼女に話しかけることは難しいし、二人の間の沟通(中国語でコミュニケーションのこと)は手机に映し出される微信しかありません。 

「 去哪里?」 (どこにいこうか?)

彼女は手机に向かって歩きながら 素早く入力をしていきます。聴力がなく、うまく言葉も出ない彼女にとって手机は彼女の言葉の代わりになる大切なコミュニケーションツールなのでしょう。その入力する速さはこの暗い中でも目を見張るものがありました。

夜上海

「去看夜景吧! 你去过外滩吗?」 (ねえ、夜景を見に行こうよ。外灘は行ったことがある?) 

「嗯、去过了」 (うん、行ったことがあるよ)

「可是在很多人」 (でも、人が多いよ)

「因为夜晚的11点后灯饰被熄灯一点、所以人家比较少 」 

(11時過ぎになるとライトアップが少し消されるから、ちょっと人が少なくなるんだ)

時計を見ると時間は10時半。出租车(タクシー)に乗っていけば、ここから外灘のある南京東路まで行くとちょうど11時過ぎぐらいになるか。夜風も気持ちよさそうだし、最近行っていないから、まあいいかも。

「Ok的」 (いいよ)

二人で大通りに出て、デコボコの歩道を歩きながら出租车(タクシー)を呼ぼうとしましたが、なかなか来ません。台北とは異なり、出租车の数が人口の割に上海は多くなく、さらに乗車拒否をされることもしばしばあります。いろいろなドライバーがいて、道がよくわかっていない人も多く、だいたいはカーナビがわりの手机に行き先を入力してナビで向かうということが多いです。油断すると遠回りされたり、知ったかぶりで道に迷って間違えたりすることもあって、自分でも手机の百度などの地図アプリを開いて時々チェックしないといけません。

基本的に大陸は共産主義の体制下からスタートしていますから自由化が進んだとは言え、サービス精神をもって職務にあたるという文化はまだ浸透していないと感じます。従って、出租车に乗ったときも乗り手の方が主導権をとっていく必要があります。

上海の夜の街

「没有」 (タクシーがないなあ)

「没问题」 (問題ないよ)

莉莉が手机でアプリを開きました。そのアプリは「滴滴出行」。

「打车!没事」 (呼ぶから!、大丈夫だよ)

彼女は微信でこう書いた言葉を僕に見せると、再びアプリを操作しだしました。

すっかり忘れていました。

莉莉はうまく言葉を伝えることができません。だから出租车に乗るときも行き先をうまく告げることはできません。だからこそ、この滴滴出行は彼女にとってはなくてはならないものでした。僕はどうしてもタクシーがつかまらないときや深夜でほとんど車が通らない所から乗るときに使うぐらいでしたが、莉莉にとっては言葉に代わる大切なアプリでした。

上海はいわゆる白タク(一般の人が自分の車で人を乗せる、あるいは同じ方向の人が乗り合いをする)があって、このサイトに登録すると営業ができます。利用者はアプリを開き、「快车」のタブを開けが周囲にいる白タクが画面にGPSで映し出されます。もちろん一般タクシーの「出租车」のタブを開けば、同じように周囲のタクシーの状況がわかります。

滴滴出行

あとは行き先を入力して画面上の車アイコンをタップすれば、車のナンバー、色、ドライバーの名前が送られてきて何分後に到着するかなどの情報が送られてきます。料金も微信とリンクしており、事前におおよその金額が提示されますから、安心確実という訳です。もちろん、ドライバーによりますが、投訴(クレーム)や評価の欄があり、これが重なると登録を取り消されてしまいますから、僕が時折利用したときに対応が悪かったことはまったくありませんでした。料金は一般のタクシーよりも少し安くなり、微信の手机での決済となります。

しばらくすると、あっという間に近くにいた快车を呼ぶことができ、僕らは出租车に乗り込みました。

そして一路、外滩へ。

延安高架路で上海の街並みを眺めながら、中山东一路に来るとまだ、多くの人並みがありました。出租车は外滩沿いのところでは一切、停車して降りることはできないので、少し離れた横道に入って車を降りました。

夜上海2

そして中山东一路を渡り、黄浦江のほとりの歩道へ。。もっと電飾が消えているかと思ったら、まだまだ多くの建造物や対岸の浦东にある东方明珠や金茂大厦、环球金融中心などのタワーや摩天楼も燦然と輝いていました。人と人の隙間は十分にあるけど、もう地下鉄がない時間にもかかわらず結構多くの人がいて、写真を撮ったり、カップルが肩を抱いてうっとりと景色に見とれたりしています。

璀璨輝煌的夜。華麗な大都会、上海の夜の顔がありました。

外灘

莉莉と僕との間にまったく言葉はありません。互いの表情だけがこのときのコミュニケーションツール。
美しい景色はきっと言葉などなくても人の心を動かすことができるのでしょう。

しばらくすると、突然、莉莉がこちらを振り向くとにこやかな笑顔を見せて、指でフレームをつくりウィンクをしました。

フレーム

この大都会・上海で彼女はどうやって生きてきたのだろう。

ともすればこの美しい夜の輝きは多くのものを隠してしまうのかもしれません。
人の心の中にある苦悩や葛藤、そして生きる意味などを。

ただ、時が流れていく。

無邪気な笑顔を見せる舞女の莉莉。その笑顔を黙って見つめることしか僕はできませんでした。

soto



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