大直のWeGoは美麗華から通りをはさんですぐのところにありました。入るとPCのモニターが並んだようなフロントがあり、空き部屋を確認しながら、私たちのリクエストをスタッフがていねいに訊きます。蔓蔓にすべて私はまかせていたので、彼女が好みの部屋を選んでいました。ただし、蔓蔓もここの支払いは私に頼んできたので、快く私は支払いをしました。この土曜日から日曜日にかけて私が支払いをしたのは、この時だけでした。蔓蔓は學費が必要だから、何度も支払いをしようとしましたが、WeGoの支払い以外は頑として受け取りませんでした。

まず、最初に驚いたのがエレべーターを開けた時でした。中にはソファがあって、座れるようになっています。たった、上まで上がるだけにおおげさなと思いましたが、いちゃいちゃしてムードを盛り上げるのは悪くないかもしれません。心なしかエレーベーターの速度もゆっくりなような気がしました。

Wego1

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さて、部屋のあるフロアに到着すると非常にセンスの良い大廳があって、さらに廊下が間接照明になっているのですが、宇宙基地に入るようなイルミネーション(東京ディズニーランドのスペースマウンテンの並んで待つ所のような雰囲気)になっていて、さらに驚きました。この大直館はWeGoグループの旗艦店になっていて、他のWeGoよりも豪華で実験的なつくりが多くされています。12億元を投入したと案内には出ています。
 http://www.qk.to/inquiry.asp?n=1779 

車道出入口-002

1779_l_image

台湾の汽車旅館(モーテル)は非常に豪華なつくりが多くて桃園や板橋、中和、永和など少し郊外に行くとアッと驚くようなつくりのモーテルがあります。また、ラブホテルという利用だけではなく、学生が誕生日パーティーを開いたり、みんなで泊って楽しくすごしたりする使い方も一般的です。家族で利用する人もけっこういて、WeGo大直館は木馬がある遊園地風の部屋や大人数ですごせる豪華な部屋もあります。

WeGo大直館の様子はこのYouTubeの映像を見てもらうと様子がよくわかると思います。


あの時、蔓蔓と入った部屋はとてもよく憶えていて「Glass house」という部屋です。できたばかりで、まだ、部屋が結構空いていて、蔓蔓が選んでいたこともあって憶えています。部屋全体が鏡張りになっているような異空間のような部屋で部屋にはろうそくが灯っている水槽のようなガラスケースがあってとても印象に残っています。今まで、あのようなタイプの部屋に出逢ったことはなくて、バスもとても広くてゆったりしていました。
 http://www.we-go.com.tw/dazhi/index.aspx 

この後、私は時折、交流のあった女の子たちと内湖に来るようになりますが、その理由のひとつにこのWeGoがあります。彼女たちが一度泊ってみたいことでも知られていますし、確かに、台北市内に近いところで車を持っていなかった私にとってはちょうど良い距離にあることも都合が良かったのです。美麗華でウィンドウショッピングや映画、食事、ティータイムを楽しむことができ、変わったところでは、近くに「大魯閣棒壘球打撃練習場」というバッティングセンターがあって、ここもなかなか楽しめてよく寄りました。極めて近い距離にいろいろな楽しめるものがギュツとコンパクトにつまっている感じが気に入っています。

蔓蔓は部屋に入って大喜びしていました。ベットやソファの上をピョンピョン跳びはねるような感じで、いろいろなノベリティグッズやアメニティ、部屋の備品を調べるのに余念がなく、しばらく、興奮状態が続いていました。部屋全体がほとんど鏡張りになっていて、普通、そんな部屋はありませんから、異次元に迷い込んだ子犬のようになっていたという感じでしょうか。KTVや映画も充実していて、大画面、大音響ですから歌好きの彼女は、さっそく歌いだしました。すごく、いろいろな歌を教えてくれたのですが、彼女がその時に私に重点的に教えてくれたのは蕭亜軒(シャオ・ヤーシャン)、通称ELVAで親しまれている歌手の歌です。蔡依林(JOLIN)と並び称される有名なボーカリストで曲調もよく似ているのですが、スローバラードからアップテンポのダンスミュージックまであって親しみやすいメロディが多く、KTVの定番になっている歌手の一人です。

私もこの時をきっかけにELVAの歌を女の子たちとよく一緒に唱うようになりました。この時、蔓蔓は多くの歌を聴かせてくれたのですが、一番心に残ったのは「最熟悉的陌生人」というELVAの歌です。「最熟悉的陌生人」というのは日本語で「最もよく知っているけど、よく知らない人」という意味です。それが私のことをさして彼女が歌っているような気がしてなりませんでした。なぜならば、この日の夜が彼女と会った最後となったからです。



心碎離開 轉身回到最初荒涼裡等待   胸張り裂ける思いで別れ踵を返して初めの荒涼の中で待っている 
為了寂寞 是否找個人填心中空白    寂しさのために誰かを探して心の隙間を埋めるの? 
我們變成了世上 最熟悉的陌生人    私たちは世間で一番よく知ってるけど、知らない人になる 

そして、もう一曲。彼女がこの日、歌った多くのELVAの歌で「下一次戀愛」という曲があります。 



下一次戀愛 何時會再來            次の恋はいつやって来るのかな?
經過漫漫長夜 總會溫柔曙光在等待    ゆっくりと果てしなく長い夜をすごして、いつもやさしい光を待っているの
寂寞的心太久空白 我想念擁抱的實在  さびしい心はとっても空白だけど、私は誠実な抱擁を懐かしく想っているから

この日、蔓蔓は以前、加菲が私に言った「一起睡覺嗎?」という言葉と同じ言葉を言いました。しかし、ちがったことがひとつあります。それは加菲の時とは異なり、蔓蔓とはこの夜、たった一度だけの忘れられない抱擁があったことです。ほんの少ししか、誠意を示すことができなかった私に対して、蔓蔓は酒店を去る区切りとして酒店で知り合った私に彼女自身の持てるだけの誠意を返してくれました。

次の日の朝、蔓蔓と一緒に美麗華の前に停まっていたタクシーの前に来ました。

「我回去台中。謝謝你。你常常照顧及體諒我。我....」
(私は台中に戻るよ。ありがとう。あなたたはとっても世話をしてくれて、思いやりをもって接してくれた。私...)

蔓蔓と2月に別れた時とはちがい、明るい笑顔はありませんでした。
彼女の目には涙が浮かび、とめどもなく流れ出しました。

きっと酒店の勤めは本当に彼女にとって苦しかったんでしょう。
でも短期間でお金を稼ぐにはきっと今の彼女には他の選択肢がなかったのかもしれません。
少しばかり、素直な彼女を支え、励ました經紀人のVickyや幹部の震洲。そして、彼女、彼らとかかわっていた私。
私も胸がしめつけられるような想いになりました。

「我是只酒店的客人。我不明白我會給你溫柔、是不是。我們分手比較好。你有未来、我希望你變成明星的歌手将來。我決定不聯絡你、所以你也絶對不回酒店的工作。拜拜、蔓蔓」

(僕はただの酒店の客。僕は本当に蔓蔓にやさしさをあげることができたかどうか、わからないよ。僕らはここで別れた方がいい。蔓蔓には未来があるから、そして僕は蔓蔓が歌手としてスターになることを願っているよ。僕はもう蔓蔓に連絡しないことを決めている。だから、蔓蔓も絶対に酒店の仕事に戻っちゃ行けない。バイバイ、蔓蔓)

蔓蔓は「恩」「恩」(うんうん)と何度も涙を拭きながら、頷きました。

「 拜拜、XX先生」

彼女は最後にあいさつがわりのキスを軽く私にして、タクシーに乗り込み、日曜日の静かな朝、去っていきました。

私が私下(プライベート)で強く印象に残り、心の交流があった子の中で、唯一、蔓蔓だけ、本名も通っていた学校も知りません。逢った回数も多くはありません。また、不思議と彼女にはくわしくいろいろなことは訊きませんでした。触れてはいけないような気がしていたのと、子犬が迷子になって、ちょっと危険な世界に迷い込んでしまったような、そんな感じをもっていたからです。

最熟悉的陌生人。

それは私と蔓蔓の不思議な、だけど心温まることが多かった彼女との微妙な距離感にぴったりの言葉でした。

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