2008年4月中旬。私は年度初めで仕事が多忙であったこともあり、午場の酒店に行くことが多くなっていました。しかし、4月には私が母親の治療費を貸した加菲が酒店を去っていました。それにはいくつかの複線があったのですが、その要因のひとつにこの制服店に現れた一人の副店長の存在がありました。

この酒店は2008年半ばから2009年にかけて台北で一番流行っている酒店と言われていました。酒店そのものは決して豪華ではなく、大廳も小さめで、包廂もごく一般的なつくりで特徴が無く、どちらかというと古いタイプでした。しかし、ハードウェアは目新しくなくても、酒店のソフトウェアが優れていれば集客でき、生意(ビジネスのこと)も上がるという好例がこの制服店でした。その理由は、2008年の3月にこの酒店の副支店長に就任したある人物が、次々と斬新な仕掛けをつくり、大発展に導いていったのです。

当時、私は彼とは全く面識がなく、私が酒店においてスタッフたちともかかわりを深めたある事件が2008年の11月から12月頃にかけてあって、それが原因で私はこの副支店長と知り合い、懇意になっていきました。2009年には彼とはビジネスの様々な意見交換や友人としての関係ができ上がって、今では彼が店長をやっている店が私の本拠地になっています。

彼は2010年のある月に店長としてこの今、私が本拠地にしている店を開店したのですが、その開店の日を実は私の誕生日に重ねてくれました。私もその時は花を彼の店に開店の際に送っています。彼は私に日本的な経営マネージメント手法を熱心にいつも聞いてくれて、私もよくアイデアを提供していました。私も人の心理をつかみ、マーケッティングをしっかり進める彼の手法はとても参考になり、2人でよくSWOT分析をして、ビジネス要因の論議をしていました。現在、この制服店は約200人の若くて可愛い子を揃え、服務も良い店として知られていますが、そこには彼が最初に副店長として勤めた時に実施して成功を導いた数々の手法が取り入れられています。さらにその半年後には新たな包廂の仕組みを取り入れた禮服店を旧・東京サウナを買い取って開店させていて、そのオープンの時も招待していただきました。やはり、女の子の質は高く、現在、台北で最も評価を受けている禮服店のひとつとなっており、高い評価のある禮服店CEOと肩を並べるところまで来ています。

彼との様々なかかわりは今後、ブログの中で順に紹介していきますが、酒店という怪しげな夜の世界には似つかわしくない完全なエリートビジネスマン的な男です。幹部や經紀人のようなニックネームではなく、会社組織の公司のトップですから、いつも本名を名乗っています。しかし、本名を明かすことはできないので、「副店長」という呼称をしばらくは使っていくことにします。

彼の卒業は台南にある国立成功大学。台湾大学は日本の東大のような存在ですが、南部の成功大学は自由な学風で知られ、京大に例えられます。台北になぜ、来たのかは詳しくは聞いていませんが、少なくとも夜の世界には今までなかった革新的な手法を斬新に取り入れていく彼のスタイルは今までの台湾の伝統的な酒店公司にはないものでした。タブーと言われるこの世界の慣例も彼はどんどん打ち破っていきました。

まず、彼が取り入れた多分、最初の手法(最初の頃は知り合いではなかったので類推です)は徹底した公關の競争意識の醸成と服務の向上でした。

制服店はギャンブル的な要素が強いことは客人もよくわかっていますが、つく女の子によって当たり外れが極めて激しいところがあります。公關の子たちも嫌いなタイプの客にはわざと態度を悪くして、早く換枱されるようにもっていったり、努力して客人にリピーターになってもらおうという姿勢がなかったりする子も多いです。すなわち、上班して空枱に並べば、それなりに客人は選んでくれると思っているところがあり、事実12時~2時にかけては缼妹状態(客人の数に比べて公關の数が足りなくなること)が発生しますから、特に苦労しなくても客人をある程度は獲得できる状況がどの子にもあります。また、酒店の支払いは一般的な台湾人にとっては高く、そんなに来られないという事情もありますから、態度が悪い子や容姿が劣っている子でも一見客につくことがある程度は可能だからです。

従って、彼が最初にやった方法は極めて大胆でした。

それは控台の櫃台(カウンター)に人気がない小姐の名前を書いて看板を出したのです。日本でもよく人気がある嬢の写真やランキングを出すことはありますが、人気がない子の名前を出すことはまず、ありません。女の子のプライドの問題もあって、やめられたら困ってしまうし、人間関係もギクシャクするのが普通だからです。しかし、彼はまったく、そのような視点には立っていませんでした。人数がいないと普通、制服店は困るため、まずは公關の人数を揃えることに腐心しますが、彼は、そこの発想を変えていました。「良い子だけを揃えて、態度が悪い子や努力しない子はいらない」という少数精鋭主義を最初は取り、店の評判がよくなれば、自然と女の子は集まるという考え方が根底にありました。

何と彼は1日平均35節以下の実績の子の名前を全部、張り出したのです。1時間が6節ですから8時間勤務でフルについて48節。さらに1回の點枱が3節となります。さらに大框は12節、小框は6節の換算加算もしていました。すなわち、もし、8時間の大框を得ると60節となります。ただ、この大框と小框はボーナスポイントなので実際の客人の支払いや公關の給料反映はされていません。

私もこの看板を見たのですが、35節以下の子の名前が30名ほど、書かれていて、2週間連続してこれに名前が載ったら解雇という厳しい警告文がその表の下の部分に「警告」という形ではっきりと示されていました。これは後から教えてもらったのですが、その意図は、適当に服務をしてすぐに客人から換小姐をするようにし向けて、ちょこちょこ小金を稼ぐやる気のない小姐の一掃でした。「悪貨が良貨を駆逐する」というような考えを彼はもっていて、同じ包廂内で複数の公關がいる酒店では、要領がいいだけでずるく、服務もしっかりしない小姐がいる影響は大きいと彼はいつも言っていました。また、そのような小姐がいると全体的な服務のレベルがだんだんと下がって、客もリピートしなくなり、店全体のビジネスが不調になっていくという考えも強くもっていました。

それと、どの客人も不人気公關のリストを見ることができるので、そこに名前が出ている公關は当然、空枱でも選ばれにくくなって、短い節数を数多くこなすという方法もとりにくくなり、小金が稼ぎにくくなるということになります。客人も最初から不人気と明示されている子を最初からわざわざ選びません。従って、名前が載ると、その公關にはどんどん悪循環が発生しますから、女の子たちにとってもこのリストに名前が載りたくないという気持ちが生じて、皆、客を獲得するために服務レベルを上げることにつながるというわけです。今では他の酒店でもする子が出てきましたが、この制服店は若くなくて美人や可愛くない子は客の獲得が困難なため、免費でSをする子が増えました。客人も小費なしでSができるため、今まで酒店のお荷物だった子たちもリピーターの客人がつき始めるという副次的な効果も現れ始めていました。

逆に彼は人気のある紅牌のような子たちを徹底して秘密にしていました。誰が一番人気があって、可愛いかを知るためには何度も酒店に来る必要があり、客人の飢餓感を誘ったり、もったいつけて紅牌の価値を高めたりする手法もうまく取り入れていました。また、可愛くて若いPT妹は懇意にしている客にしか、紹介しない手法を徹底していました。それにより女の子を預ける經紀人を安心させ、多くの新人の可愛い子が勤めやすくする環境も作っていました。そのため、2009年には考えられないような可愛い高中生や大学生が集中するという状況が発生していたのです。

加菲はこの不人気公關リストに当然ながら、入っていました。歌や跳舞もダメ、酒も飲めず、ボディサービスもダメでただ可愛いだけの加菲は、彼の出現によって、この制服店のお荷物と認定され、努力することを促されていたのです。服務の意識が上がり、競争が激しくなったこの店での限界がやってきていたのです。

そして、彼はこの施策を手始めに、この制服店の人気を不動のものにしていくために次々と新たなアイデアを打ち出していきます。それは酒店が水商売という影のビジネスから現代ビジネスへの転換をはかるモデルとなっていったのでした。

 画像は昨年、リニューアルした混合店(制服店と禮服店との混合形態)の大廳の様子です。今は大廳でこのように制服の公關がいて包廂待ちの客人などに顔見せしやすくしたり、話せたりする所が増えてきました。このようなシステムを最初に始めたのもこのブログで出てくる副店長がいた店が最初と言われていて、領枱が接遇をして制服の公關は空枱でいつも立って歩き続けているという酒店の常識を最初に打ち破ったとも言われています。この酒店は制服店→禮服店→混合店と3年間の間に3度店名を変え、システムも変えました。女の子の数を維持するため、制服店が禮服店に変わることはよくありますが、結局、生意不好(ビジネスがよくないこと)になって制服店や混合店に戻るところが多いです。禮服店はかなりレベルの高い子を揃えていないとやはり、客足が遠のく傾向が強く、包廂内の服務である程度勝負できる制服店よりも経営は難しいのは当然かもしれません。

 このブログは元々、台妹と良い心の交流をもちたいと思っている、あるBBSでご賛同いただいた方々に情報提供する目的で始めましたので、画像等も一定期間をすぎたらほとんどをプライベートモードにしております。プライベートモードは私が友達認証した方が入れますが、コメントなどをお書きいただいたり、メールなどを通じて交流などを深め、ご信頼した方を対象にさせていただいております。酒店と同じような形で一見の方はすぐに認証はできませんので、何度かやりとりをさせていただいてからになります。ご理解のほど、お願いいたします。   

 なお、ブログの記事に関係ある画像を貼っていきますが、絶対に撮影は禁止ですので、ご注意ください。これらの写真は酒店のスタッフや幹部が撮影し、私に提供してくれている特別なものばかりです。また、画像の無断使用や流用については絶対に禁止です。ご理解をよろしくお願いします。 

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