蔓蔓との別れの後、あの時一緒に上枱した美少女・漩漩にもう一度、逢いたくなりました。陽気な彼女はいたずら娘の寶貝やおしゃまな可人と一緒にすぐ、楽しくできるだろうと思っていました。いつ彼女が上班するかとても気になって、幹部の震洲に簡訊を打ってもあの日以降、彼女が上班するという連絡はまったくありません。

2月下旬の木曜日の夕方、突然、Vickyから簡訊が来ました。

「今天晩上七點左右、你有空嗎?如果可以的話、你過去比較好。你會看看開會」
(今日夜の7時頃、あいてる? もしできるなら、ちょっとおいでよ。ミーティングを見せてあげる)

私はよく、意味がわかりませんでした。「開會」というのは「会を開く」という意味で、一般のビジネスでもよく使われます。しかし、何の会議なのかよくわかりませんでした。酒店の公司の經紀人たちとの経営戦略でも立てる会議なのか、幹部を集めて注意など徹底する会議なのか、詳しい説明もないのでまったく予想がつきません。しかし、ビジネスマンとして台湾ビジネスがどのように進められ、特にこのようなルールが極めてあいまいに見える夜の世界の裏側にはどのような世界があるのか、俄然、興味が湧いてきました。

仕事を急いで片付け、7時ちょっと前に首尾良く酒店の入口に到着しました。幹部の震洲にも連絡したのですが、彼は基本的に8時から仕事を始めるため、ちょっと遅れるという連絡が来ていました。まだ、酒店の入口にはカウンターも黒服のジャンパーの男もいません。エレベータのボタンがちゃんと動作するか、心配になって、下からVickyに簡訊を送ると「你到了嗎?你可以按電梯開關、過來」(ついた?エレベータのスイッチは入れてあって押せるから大丈夫。おいでよ)という返信がすぐ来ました。

3階に到着すると、いつもは酒店の入口の前に2~3人の行政がいて門番をしているのですが、その姿もありません。するとその殺風景な狭いエレベータホールの右側からひとりの男が現れました。いつもすぐに震洲と入ってしまうので気がつきませんでしたが、右側に従業員用の小さなドアがありました。

「你、XX先生嗎?」(あなたはXXさんですか?)

私は彼にそうだと答えると彼は「等一些」(ちょっと待って)と言って、その従業員用と思われるドアを開けて戻っていきました。いったい何なんだろう? Vickyの意図がわからないまま、5分ほど待っていると、そのドアからVickyが顔を出して、手招きしています。私は彼女に中に入れられ、そして、すぐに驚くべき光景を見ました。

なんと大廳には100名を超すぐらいの制服姿の公關たちがぎっしりと座っていました。中学校や高校であった全体ガイダンスのように前の方の子たちは床に座り、その他の子たちは夜市でよく座るような安っぽいプラッシックの椅子に座っています。まさに壮観でした。

「開會」とは酒店にかかわる行政や經紀人、幹部の集まりではなく、酒店の「教育經裡」と呼ばれる担当者が、彼女たちに指導、連絡などをする会合でした。Vickyの解説を聞きながら見たのですが、まず、正職の領枱、公關とも必ず、開會は全員必ず出席しなけらばならず、欠席したり、遅刻したりすると扣錢(給料から罰金としてお金を引かれること)になります。多くの酒店では第二と第四木曜日の夜7時、晩場の営業が始まる8時までの1時間を使って行われます。

そこでは公司の規定の確認から始まり、小姐の間で生じている問題(盗難やいじめ、女の子の派閥抗争など)の注意や規定違反をした小姐の名前を具体的に出して厳しく叱責し、ひどい規定違反をして解雇した小姐(例えば、Kなどの毒品の持ち込みや小姐用のトイレでの吸引、客のサイフからの金や物品の抜き取り、包廂に入らずに客を自分勝手にえり好みするなど)のやったことを話し、その小姐の名前とクビにした理由などを発表しています。

また、客への対処の仕方を事細かく指導しており、近々におきた客とのトラブル事例や危険に巻き込まれそうになった事例を紹介して、小姐のリスクマネージメントや接遇態度の向上につなげています。そして、新しい正職小姐を立たせて紹介したりもしています。

開會の時間が7時40分近くなってくると聞いている小姐もダレてきますから、だいたい最後に優秀な成績をあげた小姐の名前をあげて、ボーナスや給与の引き上げ、賞品の授与などをもってくるのが常套手段です。その瞬間、小姐からは羨望の歓声があがり、小姐のやる客や射幸心を引き上げて7時50分頃に終了というパターンです。8時から営業開始なので、彼女たちのモチベーションを上げて客のいる包廂に行かせています。

開會の内容は非公開のため、 普通は絶対に客には見せません。また、内容も秘密です。なぜならば、開會の内容で話されていることは、酒店の接遇の根幹であり、手品のタネをばらしているようなものだからです。しかし、私は細かな中国語がわからない日本人であったことが幸いし、さらに秘密を守れる信頼ある客ということでVickyと酒店の助理(秘書みたいな職)が特別に大廳の後ろの従業員用ドアの隙間から見せてくれたのです。私はとても興味深く、その進め方や内容などが日本のテレビでやっているマルチ商法やネズミ講のミーティングに手法が似ていて、うまく小姐の心理操作をしながら進めるような形はどこの国も同じなんだなと思いました。

さて、開會が終わり、私はやってきた震洲と合流して、包廂に向いました。しかし、また、ひとつ驚くことを発見しました。包廂の入口にはホワイトボートや付箋ばさみにはさまれた紙が普通は貼ってあって、そこに包廂を担当している幹部の名前、客の人数、中にいる小姐の名前が書かれています。廊下を歩いて行くとその左右にある包廂がほぼいっぱいで、開店と同時に満員に近くなっていました。

すなわち、開會のある日は、客にとっては絶好の日というわけです。8時には正職の子が全員そろい、上班が100人以上になりますから、正職の女の子をたくさん見ることが一番できる日なのです。そのため、客足が極めて早い日ということになります。

一般に酒店の楽しみのひとつに「たくさんいる女の子から好みのタイプを捜して選ぶ」要素が大きいと言われています。また、より多くの子を並べて比較して見ることで顔やスタイルなどの相対評価をすることができ、選択肢がこの開會のある日は一番広がることもあって、とても混雑しています。行くのに良い日かどうかは諸説あって、客が多くて結局、意味がないという通の人もいますが、確率的には確かにいろいろなタイプの女の子と出会える可能性があるので悪くはないと思っています。

小姐を選ぶことを「挑選」と独特の言葉で言いますが、この「挑」という言葉にはたくさん泳いでいる魚から1匹を釣り上げるといったような意味があります。魚釣りと同じように釣った魚よりも釣ること自体を楽しむ傾向の客もたくさんいて、そのような客はこの開會の日に多く、次から次へと換枱(卡枱)して女の子を入れ替えていきます。開會の日はとにかく数いますから、そのような趣向の客にはこたえられない日というわけです。

ちなみに台湾のスラングでは援助交際などをする素人女性たちを一般に「魚」と言っていて、その情報を「魚訊」などと言っており、プロの女性は「茶」というスラングを用いることが多いです。一般の社会人にとってはまったく関係がない隠語であるため、風俗産業の規制が厳しい台湾においてはこのような形で情報交換されていることが多いです。

私はこのようなことには、まったく関係したことはありませんが、經紀人のVickyや幹部の震洲はとてもこのあたりの事情や裏世界の情報に詳しく、いつも、私に先回りして教えてくれていました。いつも興味本位で危ない橋を絶対に渡らないように言われていて、外国人だからトラブルになったら一筋縄では切り抜けられないとアドバイスしてくれていました。本当に外国人である私にとっては強い強い味方でした。

包廂に入った私は震洲にあの絶世の美少女、漩漩はどうなっているのか、聞きました。
そこで震洲はやっと重い口を開きました。実は彼女には大きな秘密があったのです。

 画像はある制服店の開會の様子です。 すべての正職の小姐が一同に揃うのは月に2回しかありません。絶対に一般に人は見ることができず、もしかしたら日本人で見たのは私ぐらいかななんて思っています。

 なお、ブログの記事に関係ある画像を貼っていきますが、絶対に撮影は禁止ですので、ご注意ください。これらの写真は酒店のスタッフや幹部が撮影し、私に提供してくれている特別なものばかりです。また、画像の無断使用や流用については絶対に禁止です。ご理解をよろしくお願いします。    

開會2

 開會1