明山森林會館の迎月亭はなかなかのものでした。2階建てになっているのですが、客廳(リビングルームのこと)もあり、二樓の寝室からの夜空は杉林の間に星が瞬いて、空気も澄んでいるのでしょうか、夏なのにちょっとひんやりした清涼な風が流れていました。

 杉林と迎月亭。小さく見えますが、実際にはなかなか立派です。
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 一樓には客廳があり、芊芊とここでよく話しました。
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 一樓の寝室。一家族が泊れるようになっていて、大きなキングサイズのダブルベットと小さなダブルベットがあり、大人の夫婦2人と子供2人が一部屋で眠れるようになっています。
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 二樓の寝室。1組の夫婦またはアベックが泊れるようになっています。実際に私たちが眠ったのはここ。
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さて、シャワーを浴びた後、客廳でゆっくりしていると芊芊もやってきて話が始まりました。

「這個旅遊是也終於結束」 (この旅行もいよいよ終わりだね)

確かに短くは感じたものの、結構、長い間、芊芊と台湾西部から中部を旅していました。星期一に免許を取得してすぐに出租車(レンタカー)を借りて、台北を午後に出発してからもう4日間が経っていました。

星期一 台北から台中へ 芊芊の思い出の地を夜にこっそりと周り、台中の汽車旅館泊
星期二 台中の彩虹村→太陽餅DIY→高美湿地と周り、鹿港天后宮へ 鹿港の民宿泊
星期三 鹿港を歩いた後、午後には王功漁港へ行き、夜に北港朝天宮へ 北港の汽車旅館泊
星期四 北港武德宮 →虎尾布袋戲館と日本故事館→古坑・華山咖啡園區と周り、夕方に南投に入って竹山の紫南宮→集集站と最も超ハードなスケジュールをこなしてここ明山森林會館に来ていました。

しかし、この明山森林會館の木屋は静かで、本当にリラックスでき、私たちも心身共に解放でき、戸建てだったこともあってゆっくりできました。明日の星期五は最後の清境農場で泊まり、星期六に台北というのが芊芊の今回の計画でしたから、残すところはあと2日となりました。ただし、私は台北で出租車を星期六まで借りること(つまり五泊六日)とおおまかな計画だけしか芊芊に知らされておらず、鹿港や北港に行き、最後は清境農場で泊まるということぐらいしかわかっていませんでした。

「星期天我想回台北。因為向我的計劃沒有住在台中的預定、所以我們的旅遊要更一天的」

(私は日曜日に台北に戻りたいな。だって私の計画には台中に泊まる予定はなかったの。だから、私たちの旅にはもう1日必要なの)

確かに1日目は鹿港まで行き、その夜は鹿港で泊まる予定でした。しかし、芊芊の故郷である台中に突然、寄ったのは私の判断でした。従って彼女の当初の予定には彩虹村や茶藝館、太陽餅店、高美湿地へ行くことは入っておらず、彼女がその場で考えた行程でした。従って、確かに1日ずれていて、芊芊はノートPCですべて住宿の預訂をその都度修正していました。

「 其實我已經結束聯絡了。也做再二天分的住宿的預約、出租車到星期日也借OK、貓貓也可以住寵物生活館、所以没問題的!」

(実は私、もう2日間分の泊まるところの予約もしちゃったんだよね。レンタカーも日曜日まで借りるのOKだって。それと猫もペット店が預かってくれるって言ってたから、問題ないよ!)

芊芊はいつものようにペロッと舌を出すような悪戯娘の表情で出し抜けに私に言いました。私がシャワーを浴びている間、ノートPCを使って網路をつないでいたようでしたが、山間部などでなかなかつながらないと言っていたのはどうやら、この作業をするためでした。

まったく、この娘はいつもこの調子です。思えば没有MCの話も突然でした。

人工流産の術後、芊芊は絶好調で、まったく体の不調を訴えることや突然の不正出血もなく、元気満々でした。
芊芊は思えば、服もところどころで安いものを買い足していて、旅行の継続はどうやら確信犯でした。私の暑假は正確にいうとこの星期四まで。しかし、年次休暇を1日使い、土日は当然、週休日なので休みという状況でした。土曜日に台北に帰り、日曜日はちょっと休養して仕事の再開に備えようと思っていた計画が見事に崩れてしまいました。

まあ、いいか。

私も芊芊の子供っぽい表情を見ると、1日遅く台北に帰っても実質的な問題はないこともあり、彼女の提案を了承することにしました。

「好的、芊芊」 (いいよ、チェンチェン)

そう言った瞬間、彼女は跳び上がるように喜んで、いきなり抱きついてきました。
本当に子供のような無邪気さがあり、気持ちを包み隠さない彼女の気質の魅力は他の子にはないものでした。

芊芊は実はちょっと心配だったのでしょう。仕事があることを彼女は知っていましたし、旅行費用も余分にかかることになるので、断られるかもという一抹の不安があったようです。まあ、私も芊芊もお金は余裕をもって持ってきていてそれぞれ、5万元ぐらいはありましたし、信用卡(クレジットカードのこと)もありましたから、問題はありません。車の運転も慣れてきたし、私もこの際、日本人がなかなか行けない台湾中部を巡ってみたくなりました。芊芊という最高の可愛い案内役がいるのは、本当に貴重なことだったからです。

「芊芊、明天我們去在那裡?」 (チェンチェン、ところで明日はどこへ行くの?)

また、「秘密的」というと思っていたら、彼女はあっさりと今回は答えてくれました。

「是台灣的秘境中的秘境喲!」 (台湾の秘境中の秘境だよ)

よくわからないのですが、南投は確かに山間の縣。なかなか行けない所に行くようです。
あまり、訊くと楽しみがなくなってしまうので、私も深くは訊かないことにしました。

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私と芊芊は陽台に出ました。高く伸びた杉林から垣間見える夜空には落ちそうなぐらい星がいっぱい。
明日、この元気娘はいったい、私をどこへ連れて行ってくれるのでしょうか?

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