今日、9月29日は中国とのいわゆる国交回復をしてから40年という節目の日でした。しかし、このところの日中台韓の関係は極めて薄氷の状況が続いています。

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特に尖閣諸島の領有権を巡る争いは先が見えず、打開の展望も今のところ、まっったくないと言わざるを得ませんん。親日的であって台湾も二期目に入った馬英九政権が新たな閣僚人事を行い、従来の開放政策をさらに強めるような印象を与える人事となりました。

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特に外交分野を中心に重要な側近を大陸、アメリカの外交担当に置き、さらに台湾の経済発展は大陸を見据えてきています。馬政権になってからは大陸との航路の拡大や経済関係の規制緩和、門戸開放をはじめ、大陸の莫大な需要を見込んだ経済政策を積極的にとってきました。台湾に観光で訪れる大陸からの旅客は著しく増加し、上海博覧会では台湾館がオープンするなど、ここ数年、大きく、その関係が変ってきています。2010年には自由貿易圏の確立を目標とするFCFAを締結したものの、関税問題がまだ残っており、これからの協議の方向性は台湾にとって極めて重要になってくると思われます。

台中政策を担う大陸委員会主任委員には若手のエースと言われる王郁琦氏を起用し、交渉の窓口にあたる海峡交流基金会理事長には国民党秘書長の林中森氏を充て、さらには駐米代表に馬総統の長年の腹心の部下である金博(実際にはさんずいです。フォントがありません)聡氏を抜擢しています。台湾はアメリカと輸入牛肉安全問題でやや関係が冷えこんだものの、この7月には馬政権は反対を押し切って再び輸入緩和を実施し、対米経済政策に力を入れ始めています。特に将来の自由貿易協定・FTAの締結を馬総統は大きな目標としていて、台湾の経済政策の重点課題を今回の人事で解決する方向になんとかもっていこうとする意欲が伺えます。

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では、日台関係についてはどうか?ということになると、現在、尖閣諸島との問題が顕在化し、中国とともに領有権を主張していることもあって、日本への経済政策や外交の重点化という形があまり、はっきりとはしませんでした。李登輝氏など、親日家の政治家も高齢化し、かつて国民党の戒厳令下から日本の再評価を積極的に行った親日の有力人物もここにきて影が薄くなりつつあります。

尖閣諸島も石油がその近隣の東シナ海・海底に眠っているという国連機関のやや不確実な調査結果を受けて、1070年代以降、中国・台湾ともにその領有権を主張し始めています。しかい、両国と日本の主張は食い違うばかりで、竹島問題での韓国とともに国際法での解決を目指す日本に対して、特に中国は歴史問題を主張、植民地支配の原点として国際世論に訴える戦術をとっています。

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尖閣諸島は1895年の下関条約で日本に清が割譲した台湾及び澎湖諸島には含まれておらず、1895年1月には清の実効的な支配がないとして日本は沖縄県に編入をしています。1951年のサンフランシスコ講和条約で日本が放棄したのは清から割譲を受けた台湾及び澎湖諸島であり、尖閣諸島はもともと日本に施策権があるとして、埼玉県の民間人が所有するという歴史的経緯をもっていたはずです。しかし、問題はねじれにねじれ、大陸では大きな反日デモや抗日運動が展開され、日系企業は大きな損害を受ける結果となってしまっています。

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これからの東アジアの状況は領土問題を抱える外交問題を機軸に展開するでしょうが、台湾の経済政策を中心とした馬総統をリーダーとする国民党の舵取りも私たち、国際的なビジネスをするものはよく注視していく必要があります。1月の総統選で民進党が2008年の馬総統第1期の時に比べ、かなり接近しており、馬総統は民進党の蔡主席を破って、接戦を制した形でした。側近を重視する馬総統には多くの批判もありますが、台湾人の対大陸への意識も変ってきているのかもしれません。大陸の巨大な人口と需要は台湾にとっても大きなビジネスチャンスであることは確かなのですから。
台湾政治の今-馬英九・国民党政権再選をどう読むか(東京財団・関山健 研究員)

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しかし、安い人件費を背景に巨大な労働資本を提供してきた中国も都市部と農村部の収入格差が3倍以上に開き、今回の日中関係悪化による日系企業の操業停止や縮小傾向などのリスクも負いましたから、中国の経済成長もここに来て難局を迎えていると言わざるを得ません。世界第2位の経済大国になった中国は今、景気減速に直面し、巨大な外国投資による国内需要を上回る輸出を中心とした急成長も頭打ちになっており、経済政策の実効性を含め、シンクタンクである李克強副首相の手腕が今こそ問われています。先週、上海株が急騰し、ユーロとの関係強化をコメントはしましたが、これが一時的なものかどうかはよく注視していかねばならないでしょう。

ユーロもECBによる国債の購入決定という歴史的な動きを背景にし、さらにアメリカの経済緩和政策QE3の期待から一気に104円近くまで高騰しましたが、その後、スペインの混乱が再浮上し、一気に100円前後まで急落しています。スペインが緊縮財政政策を発表したことにより、大きい下落は避けられていますが、欧州不安が払拭されつつあるという感覚は再びなくなってきており、予断を許しません。中国が世界的にユーロ圏を含め、どう経済対応していくかはやはり、注意深く見守っていくしかないでしょうね。

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私たち日本人はアジアの中で、世界の中でどういう立場をとるかということを真剣にひとりひとりが考えていかねばならない時期に来ています。日本企業や日本人が台湾でビジネスを展開しているということが、今後、どう変化し、影響を受けるかということは本当に不透明であり、私たち自身がいつもこれらの国際的な課題に真摯な姿勢で向きあっていくしかないと思っています。それが私たち日本人のアイデンティティでもあり、それを失わずに台湾社会や国際社会に接していくことしか、今はとる道がないと感じています。

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