天后宮を後にした私たちは宮へ続く参道、そしてメインストリートである中山路へ歩みながら、ちょっとまわりに出ている屋台などを冷やかしてみることにしました。なぜなら、台北の夜市よりももっと原風景の台湾に近い素朴な小吃や品々がちょっと目についたからです。

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「你知道彰化鹿港名產嗎?俗語有句話說『一隻蝦猴配三碗粥 』 、就是早期老一輩的流傳的俗話。主要因為早期鹿港沿海居民清苦所以醃漬出『一隻蝦猴可以配三碗粥』」來渡三餐」

(ねえ、彰化鹿港の名産を知ってる?有名なことわざがあって「一隻蝦猴配三碗粥」 と言うんだけど、昔の人たちが広く言い伝えたものなのよ。これは、鹿港の沿岸に住む人たちがあんまり豊かではなくて1匹の蝦猴で三杯のご飯を食べたということ)

私は「蝦猴」という言葉がよくわかりませんでした。たまたま通りかかった屋台が「蝦猴酥」という油で揚げたエビのような小吃を売っていたのですが、エビは「蝦子」ですから、ちょっとちがいます。ザリガニの一種か、ロブスターのような仲間なのかと思っていました。 

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しかし、芊芊がメモに絵を描いて、干潟の穴に住んでいるとか、泥のような海でとれるとか話してくれ、さらには店の人が揚げる前のバケツに入った大量の蝦猴を見せてくれて、 やっとわかりました。蝦猴とは「穴シャコ」のことでした。シャコは日本では寿司で食べるぐらいで、あんまり多くの料理法を私は知らなくて、油で揚げたり、焼いたりするという印象はありませんでした。 さらに私の無知かもしれませんが、台北の夜市や餐廳で見かけたことがなく、台湾人がシャコを食するとは知りませんでした。  

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芊芊はさらにいつもの得意気な顔で続けて私に訊きました。

「你知道麵線糊嗎?」 (ねえ、麵線糊知ってる?)

「不知道」 (わかんないなあ)

麵線はメンですが、糊というのがよくわかりません。芊芊が言うには台中から南の鹿港や雲林北港の名物で特に天后宮の前にある「老林麵線糊」はとても有名ではずせないとのこと。確かにこの天后宮の前は多くの小吃屋台が並んでいますが、その中でお世辞にもきれいとは言えない「老林麵線糊」には人がぎっしり。私たちは屋台で 蝦猴酥を袋に入れてもらってたっぷり買った後、この老林麵線糊の裏にある簡単な桌に座りました。   

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台湾風の細いそうめんに糊と呼ばれるアンカケのようなとろみのある汁がかかっていて、なかなかうまい!確かにとろけるような食感にヌルヌル感があって、いかにも台湾らしい味です。1杯25元とさらに激安で屋台で買ってきた蝦猴酥をボリボリ芊芊と食べながら、まわりのワイワイガヤガヤする喧噪を感じながら食べるのは悪くはありません。

「好吃嗎?」 (おいしい?)

いかにも「好吃」と言ってもらいたいのが見え見えの表情をして芊芊が訊きました。

「不好的!」 (まずいよ)

芊芊にわざと反対の答えを冗談で言うと「你不説謊的。騙子!」(嘘を言わないで!、もう嘘つきなんだから)

こちらも見え見えでした。だって、芊芊が買った蝦猴酥はあっという間にたいらげてしまっていましたし、さらに麵線糊は量が少ないこともあり、安さも手伝っておかわりして2杯食べてしまっていましたから。  

食べながら、今日の住宿を芊芊と相談したところ、また、芊芊がいつもの顔をして私に訊いてきます。今日は自分のテリトリーの鹿港に来ているし、突然行った台中とは異なり、この旅行に来る前にどうやら下調べしていたようで、彼女はこの鹿港の案内にはどうやら自信をもっていました。それに自分自身も國中生の15歳頃以来の來鹿港でしたから、芊芊自身も行ってみたいところがあったようです。

「你知道童年往事嗎?」

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童年往事とは訳すと「少年時代にあった昔の事」。私は芊芊の言っている意味がまったくわかりませんでした。