すっかり日が落ちた高美濕地を私たちは出発。芊芊の指示で台湾の西海岸に沿って走る西部海濱快速公路に入りました。この高速道は北は台北の北部の八里あたりから南は台南まで海岸沿いを走る素晴らしい景色が続く高速道です。

西濱

変化に富んでいて、きれいな海岸沿いや貴重な生物がいる自然保護地區近くを走ることもあり、また、逆に荒涼とした埋め立て地にある工場地帯、倉庫街や蝦養殖用のため池の点在する人工的、無機的な所を走ったりもします。交通量が少なく、景色も良いため、極めて気持ちの良い道路です。東京の湾岸道路や湘南の134号線とちょっと感じは似ていますが、車がとても少ないため、もっと殺風景で荒涼とした印象があります。特に夜は寂しい感じがするような所をたくさん通りますし、遠くに見える工場や人工風車、河口にかかる橋のイルミネーションがちょっとあまりにも無機的で不気味な感じすらします。

この高速公路の風景をとても丹念に撮影し、附近の様子を解説した素晴らしくマメなHPがあります。ドライブには最適ですから、ぜひ、一度、HPを見られてみてください。各ブロックごとに編集されていて、地図もあり、状況を把握するのにぴったりなサイトです。
新南極轉運站~台61西濱快専輯~

この高速公路に乗って、私たちは一路、彰化の鹿港を目指しました。

まわりの風景を見ると、とにかく風力発電用の風車が多くあって、風が強いこのあたりには、相当数の風車が立てられています。

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高速公路のドライブはとても快適で、まわりに大きな建物もないため、空が広く、風車のライトアップされた姿が遠目にたくさん見えていました。天気もよくて、ちょっと窓を開けて外の風を入れると潮風の香りを感じることができ、芊芊も穏やかな表情で美しい夜景を見つめています。

「真的美麗呢。我很舒服」 (本当にきれい。とっても気持ちいい)

松任谷由実さんの名曲のひとつに「埠頭を渡る風」という歌があります。今でも目に焼きついている、あの時、芊芊と見た風景は本当に心に残るものでした。写真はとらなくても心というフィルムにしっかりと記憶されていて、おおげさな言い方でなく、きっと一生、忘れることはないでしょう。

「埠頭を渡る風」~松任谷由実


「芊芊、為什麼你離開台中。在台中你朋友有很多。而且你會住家人一起。因為你是很聡明所以你試看看台中的大學考試験。應該你考到了。你會照顧及體諒人・・・・・・・」

(チェンチェン、どうして台中を離れたの?台中にはとてもたくさんの友達がいるし、家族とも一緒に住むことができる。チェンチェンはとっても頭がいいから、もう一度、台中の大學の試験、受け直してみたら。きっと合格するよ。チェンチェンは面倒見がいいし、人を思いやることもできる・・・・・・)

私が話し出した途端、芊芊は黙って、私の口をその小さな優しい手で塞いでしまいました。
きっと芊芊は私なんかに言われなくても、きっと、わかっていました。
孤独に耐えて、酒店のような虚飾の城で偽りの笑顔を見せながら、暮らしていく意味のなさ、そして自分の心の疲弊を。

「星空很漂亮。看著的話,我能變得純真」 (星空がとってもきれい。見てると無心になることができるよね)

「望著星空、我想起在學校、在台中的時候。回憶青春夢想。我的日子我開心、不寂寞了。如果仰望著星空辣事辛苦的事也能都忘記的。我們願意留下漂亮的星空永遠、你那?」 

(星空を見上げるとね、私は学校や台中にいた頃のことを思い起こすんだ。青春だった幻のような夢のような時代を思い出すの。私の毎日はとても幸せで、寂しくなんかなかった。星空を見上げると厭だったことや辛かったこと、すべても忘れられるんだ。ねえ、ずっとこのきれいな星空の下にずっといられたらいいよね?)

「星空」~五月天~ 


摸不到的顏色 是否叫彩虹
看不到的擁抱 是否叫做微風
一個人 想著一個人 是否就叫寂寞

命運偷走如果 只留下結果
時間偷走初衷 只留下了苦衷
你來過 然後你走後 只留下星空

那一年我們望著星空 有那麼多的 燦爛的夢
以為快樂會永久 像不變星空 陪著我

獵戶 天狼 織女 光年外沉默
回憶 青春 夢想 何時偷偷隕落
我愛過 然後我沉默 人海裡漂流

那一年我們望著星空 未來的未來 從沒想過
當故事失去美夢 美夢失去線索 而我們失去聯絡

這一片無言無語星空 為什麼靜靜 看我淚流
如果你在的時候 會不會伸手 擁抱我?

細數繁星閃爍 細數此生奔波
原來 所有 所得 所獲 不如一夜的星空

空氣中的溫柔 回憶你的笑容
彷彿只要伸手 就能觸摸

摸不到的顏色 是否叫彩虹
看不到的擁抱 是否叫做微風
一個人 習慣一個人...

這一刻獨自望著星空 從前的從前 從沒變過
寂寞可以是忍受 也可以是享受 享受僅有的擁有

那一年我們望著星空 有那麼多的 燦爛的夢
至少回憶會永久 像不變星空 陪著我

最後只剩下星空 像不變回憶
陪著我...

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「星空的誘惑」~松任谷由実~


群星快要灑了的夜 晚一點一點地顫動的鏡子 你不問理由  遠的地方運送我 
回憶流過去燈   説謊可以的、你愛我一直   我會珍借你重疊冷的手永遠

當悲哀的時候每次上有連見面哦 你白白快要失去了的星空的誘惑
一定你的心朋友的那樣 會為任性的眼涙躊躇搖晃著

群星快要灑了的夜 晚一點一點地顫動的鏡子 你不問理由  遠的地方運送我 
能說要是現在的時光是夢想

しかし、芊芊はどこでボタンを掛け違えてしまったのか、自分でもわからなくなっていました。そして、掛け間違えたボタンはどんどん次から次へと玉突きのようにずれを起こしていました。きちんと元の姿を取り戻すためには、すべてボタンをはずし、もう一度、最初から正しく、ボタンを掛け直すしかないことは私も芊芊もわかっていました。

しかし、一度ずれていたとわかってはいても、もう一度、ボタンをすべてはずして最初から、かけ直すことはとても勇気がいること。少しボタンがずれていてもそんなにおかしくはないし、それなりになっているからということもあります。

芊芊が本当に捜していたのは、ボタンのかけ直しに躊躇する自分の肩をちょっと押してくれる存在だったのかもしれません。

鹿港までは高美濕地から、わずか約30Kmの距離。もう目の前に鹿港の街は迫ってきていました。 鹿港の風車も暗闇の中に見えています。

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「芊芊、我們到達鹿港了。我們過去在那裡?」 (チェンチェン、鹿港についたよ。どこ行くの?)
いつも「秘密的」と応える芊芊がはっきりと応えました。

「我們去皇后宮」

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