フランスはやはり強かった。

ブラジルよりも個人技はなかったものの、高さとスピードがあり、難敵でした。日本がこの試合で打ったシュートはわずか4本。対するフランスは27本。しかし、そのうちの2本をゴールに結びつけた決定力とチーム一丸となって体を張って守り抜いた勝利は素晴らしいものでした。特に後半フランスに1点を返されてからの最後の約20分はサンドバック状態。矢のようにシュートを打たれ、いつ得点されてもおかしくないようなフランスのリズムだったと思います。
foot365(フランスの有名サッカーサイト)のレポート
Ouest France.fr(フランス語の動画あり)





助かったのはフランスチームのシュート技術が今ひとつだったこと。大きく枠を外れるシュートや遠目からの無理なシュートも多く、日本チームにとってはラッキーでした。阪口選手がPKを相手に与えたプレーはシュミレーションのようにも見えましたが、うまく相手に転ばれたのでとられてもしょうがないプレーだと思います。誰もがフランスの同点を覚悟した瞬間、神様のちょっとした気まぐれでしょうか、PKを相手選手が外すという幸運にも恵まれました。

20060614_0679_450

71c66d224850b55dda160871e1f4

それとフランスの要、ネシブ選手の動きが今ひとつで阪口選手・交替の田中選手がマンマークぎみにつかれて、うまく抑えられていたこと、そして彼女自身もちょっと体のキレがいつもよりも悪いような感じもありました。ネシブ選手が後半ゴール右隅に放ったシュートは素晴らしいものでしたが、GKの福元選手も片手一本で阻止、あのプレーもネシブ選手がちょっと気落ちするのを演出したように感じます。本当にファインセーブ連発でした。
Louisa Necib:London 2012

私の今日のゲームのMVPは大儀見選手。岩清水選手・熊谷選手の両センターバックは今日も安定、鮫島選手・近賀選手はほとんどオーバラップする余裕もなく、ゴール前でブロックを形成し、相手の攻撃を跳ね返すという誠実な守備を90分間続け、今日も素晴らしい出来でした。また、今大会マークがきつく不調と言われた宮間選手がこの大切な場面で素晴らしいフリーキックを2本蹴り、2本ともゴールにつなげたのも大きかったです。しかし、ブラジル戦の先制点と同様、流れの中でのパスをつないだきれいな形のシュートではありませんでしたが、大儀見選手が前半引き気味に守り、フランスが失点をしないという戦術をとる中、相手GKのミスを得点に結びつけた嗅覚はFWとして素晴らしいと思います。

ブラジル戦同様、先制点をどんな形であっても取ったことは大きく、特に今回は相手GKが弾いたボールをかするような感じで足にあて、体ごと押し込んだゴールは今回のなでしこを象徴するようなゴールだったと思います。相手のCKの時もディフェンスに戻り、ほぼリトリートぎみになった後半も一人前線でためをつくってゴール前に一人でよく持ち込んでいました。守備一辺倒になった今日のような試合は2列目の選手が攻撃参加することが難しいため、前でボールをキープでき、一人で持って行ける彼女のような選手は本当に重要です。2点目の阪口選手のヘッドもキーパーが出られなかったのは1点目のファンブルから得点されたというイメージがあったからだと思います。

彼女はワールドカップの時はわがままなプレーも多く、うまくいかないとふてくされるような態度もあり、ちょっとチームから浮いているという印象もありました。しかし、ワールドカップ後、彼女は「献身的にチームに貢献する」という気持ちを大切に自分の心のもち方を変容させてきました。ブラジル戦のゴール後のインタビューでも「後ろのみんなが必死に守ってくれていたので、何とかしたかった」という気持ちのある言葉で感想を語っていました。「なでしこのプレーは自分のプレースタイルとは違う」「守備に力を使うのはFWの仕事ではない」と言っていた彼女が変りました。私はワールドカップの頃の永里選手は力があってもFW特有の傲慢さみたいなものを感じることがあって、好きではありませんでした。しかし、今は謙虚に、そしてひたむきに走り、体を張る大儀見選手のプレーのファンです。

YAHOOのスポーツナビ・コラムに了戒美子氏が彼女のことを書いたこのようなコラムがあります。

【なでしこジャパン】チームに加わった最後の1ピース、大儀見優季

なでしこはひたむきさでブラジルから白星を勝ち取った。劣勢に立たされながらも最後の粘りで逆に相手を精神的に追いつめる戦いぶりは、なでしこらしさそのものだった。
 
もはやディフェンスリーダーの風格さえ漂う岩清水梓が言う。

「やりながら去年のアメリカ戦を思い出しましたね。ひたすら耐えながら、ここを耐えたら先が見える、という感覚がよみがえったというか」
 
個の能力でやられても、ボールポゼッション率で下回っても、それでも走ることで数的優位を作り出し、ピンチを最小限に食い止める。最終ラインとゴールキーパーは体を張り、ゴールを割らせなかった。

試合終了後、なでしこたちは大会入りして初めて大喜びをしてみせた。誰に何と言われようとも、なでしこらしさの一要素である巧みなパスワークを披露できなくても、何より必要だった勝利を手に入れた。喜びつつも、宮間あやは気持ちを引き締めた。

「自分たちが優勝して当たり前だと思っていたら、この勝利でホッとしているかもしれない。でも私たちは挑戦者。一番良い色のメダルが欲しいので、そこに向かうだけ」 

その言葉に、選手たちの意思は集約されている。ブラジル戦では無失点に抑えた守備もさることながら、90分で試合を決め切れたことがW杯との大きな違いだ。中でも大儀見優季の復活が、日本の攻撃陣を支えている。

昨年のW杯では力を発揮し切れずに1得点。圧倒的な能力と経験を持ちながらも、自分のプレイに固執した。ストライカーはこうあるべきだという信念も強く、守備に力を割くのはゴールに向かう力を削ぐものだと考えていた。

「自分の目指すサッカーとなでしこの目指すサッカーが違う」と、大会中でも周囲をはばからずに吐き捨てた。練習中も考え込むように、ひとりボールに向かう姿が見られた。準決勝、決勝では先発からも外れた。優勝に号泣したのは、嬉しさ半分、悔しさ半分だった。

その大儀見が変わった。初戦カナダ戦前日には「進化した私をお見せできれば」と、柔らかい表情で語っていたのが印象的だった。今、チームに対して感じることは「一体感」だと言う。昨年の彼女からは想像さえできないひと言だ。

「こういうチームとして大事な試合っていうときに、チャンスをものにできる、チャンスをつくり出せるというところまでは来たのかな。自分自身の成長として感じられる部分だと思う」

チームの勝利に貢献できたことを素直に喜ぶ、すっきりした様子だ。

「私は普段、ピッチであまり話さないんですけど、味方に声かけちゃったりして。鼓舞しちゃったりしてましたからね」

自分自身の変化を楽しむように、クスクスと笑いながら振り返った。なでしこらしさとは何かといえば、まず第一に全員守備、全員攻撃。見る者の胸を打つような走り切る姿だ。それに次いで、宮間を中心としたパスワーク。小さな彼女たちがショートパスで大柄な相手を翻弄する姿は痛快ですらある。それに加えて、前線で仕事をするストライカー大儀見が機能し始めたことは大きな武器となる。準決勝、そして悲願の決勝へ。なでしこに欠かせない最後のワンピースが加わった。

ワールドカップではポゼッションサッカーで勝ってきたなでしこたちが、オリンピックではまったく異なるサッカーを見せています。とにかく、勝つために、結果を出すために自分たちのサッカースタイルよりも必死にチーム一丸となって耐え、少ないチャンスをFWがものにするというサッカーもやっています。ブラジル戦もフランス戦も、内容で言ったら相手の勝ち。しかし、勝負の結果は異なっていました。ゴールマウスをなかなかこじ開けさせない彼女たちのサッカーは、「ひたむきさ」「愚直さ」というポゼッションサッカーとは対極のものです。ブラジルもフランスもきっと、なぜ負けたのか、よくわからないと思います。しかし、大切なのはやはり「気持ち」なのかもしれません。

ワールドカップで優勝し、期待を背負った彼女たち。何度もオリンピックで苦杯をなめ続けた彼女たち。そしてワールドカップでのドイツ・アメリカ戦の延長戦の闘い。このオリンピックではさらに進化し続ける彼女たちの姿を見せています。

宮間選手の試合終了後の涙は胸を打ちました。いつも冷静でしっかりしている彼女らしくないのですが、初めてナショナルチームのキャプテンとしての重責を背負い、ブラジル・フランスと紙一重の勝負で勝ち上がってきたいろいろな思いが胸に交錯したのでしょう。しかし、、まだ、大切な決勝が残っています。

今、カナダとアメリカの試合を見ながらブログを書いていますが、意外(カナダにちょっと失礼ですが)にもカナダが1-0でリード中。アメリカは前半、枠にシュートをとばすことができません。個人的な希望としてはアメリカとのワールドカップの決勝の再戦を見たいのですが。

日本の男子もがんばって、メキシコ戦、勝利で飾ってもらいたいですね。今日は徹夜になってしまいました。思わず感動してブログアップしてしまいました。明日がちょっとつらいですが、まあ、こんな日もあっていいかな。

aaoonadesi

PS アメリカVSカナダ戦、すごくいい試合でした。カナダのがんばりは称讃に値します。シンクレア選手のハットトリック、追いすがるアメリカ。目の離せない好ゲームでした。しかし、延長の最後はやはりアメリカの快足ヤンキー娘・モーガン選手にヘッドで決められてしまいましたね。
Alex Morgan:London 2012
Alex+Morgan+Olympics+Day+10+Women+Football+zVgUGjQ51ZUl

アメリカは延長を戦ったので、なでしこが体力的にはちょっと有利かも?ただ、ここまで来たら気力だけですね。アメリカはラスボスにふさわしい強さ。ワールドカップ決勝の再戦となり、目が離せません。ブラジル、フランスと難敵をチーム一丸の守備で耐えて勝ってきたなでしこジャパン。史上初のワールドカップ優勝とオリンピック優勝という連覇を果たしてもらいたいものです。