今日から10月。

ジャイアンツが球団創立以来のCS進出を逃し、セ・リーグとパ・リーグ双方のCS進出チームが確定しました。かつてAクラスの常連だったジャイアンツやドラゴンズはBクラスに沈み、NPB、特にセ・リーグの状況はここ数年で大きく変わってきています。

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MLBも悲願の初優勝を目指すアストロズや初のWS進出に闘志を燃やすナショナルズ、最もWCから遠ざかっているインディアンズ、連覇を目指すカブス、名門のレッドソックスとドジャーズが地区優勝決定シリーズに進出、あとはワイルドカードのチーム決定を待つばかりとなりとなりました。とても興味深いポストシリーズになりそうです。

 MLBで未だWorld Championになっていない球団は8球団。AstorsやNationalsは初の制覇がなるでしょうか?
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今の若い人たちは知らないと思いますが、僕が今まで見た多くのプロ野球のゲームで最も心を動かされた試合があります。今でもあの日のことは忘れられません、それほど素晴らしい試合でした。それはまだ、携帯電話もインターネットもなかった時代。バブルが弾けかけ、昭和がもう終わろうとしていた年でした。

あの水曜日の午後、僕はたまたま代休で昼頃に当時、つきあってた子と立川のWILLにいました。

 当時は駅ビルはLUMINEではなく、WILLでした。今は立川もすっかり変貌しました。
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「ねえ、今日はどこ行く?映画でも見よっか」

「それよりもさあ、今日はプロ野球のパ・リーグで面白い試合があるから見に行こうよ」

「えー、パ・リーグ? 選手の名前もわかんないし。どこの試合?」

「川崎球場であるロッテと近鉄の試合。今日の2試合に近鉄が勝つと優勝するんだよ」

「ロッテ?近鉄? 何それ。パ・リーグなら西武は知ってるけどさ、清原とかいて」

「近鉄ってね、唯一日本一になっていないプロ野球チームで、前の日本シリーズも広島の江夏っていう投手にギリギリのところで抑えられて負けてて、不運なチームだから応援したくって。江夏の21球って知らない?」

「そんなの知ってるわけないじゃん、プロ野球とかそんなに興味ないし。お父さんは巨人好きだけど」

当時のパ・リーグはこんなものでした。西武がとても強くて1強時代。人気選手も多くてそれまで3年連続で優勝していましたし、在京球団で東京ドームで試合をしていた日本ハムはまだ知られていましたが、ロッテや近鉄、南海や阪急といった球団は人気も高くはなく、一部の野球好きなファンに支えられているという状況でした。

パ・リーグ

 今はクラッシクイベントなどで当時のユニホームが登場する近鉄・阪急・南海の関西3電鉄プロ野球チーム。かつてはパ・リーグの半分を関西の球団が占めていました。1988年(昭和63年)を最後に阪急がオリックス(当時はオリエンタル・リース)、南海がダイエーに身売り、そして最後の砦だった近鉄も2004年にオリックスに吸収合併という形で消滅し、オリックス・バファローズとなりました。
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「今日はウィークデーだし、試合はダブルヘッダーで午後から始まるから、優勝がかかる試合とは言え、空いてると思うよ。球場も川崎だし」

「本当に優勝するの? プロ野球の優勝決定とか見たことがないしなあ、天気もいいし、じゃあ行くか!」

立川から川崎には首都圏に住んでいる人にもあまり知られていないJR南武線という電車があり、これに乗って僕と彼女はとことこと行くことにしました。

 当時のJR南武線。今のような車輌ではなく、真っ黄色の車輌でローカル路線の雰囲気がありました。
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川崎駅に到着して歩いて川崎球場に到着。行かれた方は知っているかもですが、川崎球場に行くまでには結構、風紀上よろしくない地域を通ることもあり、彼女は歩いている途中も「いかにも場末」「パ・リーグは本当にマイナー」という言葉の連発でした。

 テレビでは見られない川崎劇場のキャッチフレーズもあった当時の川崎球場。昭和の雰囲気が満点で今の時代では考えられないような場末感が何とも言えませんでした。
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 今はすっかり生まれ変わり富士通スタジアム川崎となりました。アメフトの試合など多目的スタジアムとして使われており、かつての面影はまったくありません。
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球場に2時過ぎに到着、しかし、球場に着いてびっくり。いつも楽勝で入れる川崎に50~100人ぐらいの人がすでに並んでいました。

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「えええええ、パ・リーグなのに並ぶの?やっぱり、やめようよ」

「まあ、せっかく来たんだしさあ、川崎球場で並ぶなんていうことは普通ないから。いい経験と思ってさあ」

「でも、これだけ人が並ぶということは面白い試合なのかもね。まあ、いいや、今日はつきあってあげるよ!」

文句ブリブリの彼女を何とか、おだてて僕らは切符を買う列に並びました。安い自由席や外野席の方はどうやらもっと人が多いような感じで、僕らはまだ切符が売っていた当時2000円ぐらいだったかな?内野指定席(近鉄ベンチの上のあたり)の3塁側に入りました。いつもの川崎球場よりすごく客入りが良くて試合開始1時間前ぐらいなのにすでに4~5割ぐらいが埋まっているかなという感じでした。

「ねえ、さっきトイレ行ってきたじゃない、女子用がなくてさー、男女兼用なんだよね。おばさんに聞いたら、ネット裏の特別席の方にしかなくって、ここからは入れないって。信じられなーい!本当に場末でさあ、もう今日は早く帰るから」

「ごめんごめん、川崎球場ってこんなとこなんだよ、ご飯ごちそうするから許して」

「でも、今日の試合はすごく重要でね、絶対に優勝と思われた西武に近鉄が勝ちまくって追いつきてきてて、もう西武は全試合の日程を終了してるんだよ。でもね、今日のダブルヘッダーに近鉄がロッテに連勝すると逆転で優勝するのさ」


「ふーん。相手のロッテってアイスは美味いけど野球強いの?」

「ううん、今は最下位。前日の試合も優勝目指す近鉄にボロ負けでさあ、近鉄とモチベーション違うから今日は優勝の胴上げ見られると思ってるんだ」

「でも、ダブルヘッダーって1日に二試合やるんでしょ。長いよ。1試合目に勝って、さらに2試合目に勝ってやっと優勝?それって夜までじゃん」

「まあ、1試合目に近鉄が負けたら終わりだし、1試合目は延長はなくて9回までなんだ。だから1試合目に近鉄が負けるか引き分けたら、チネチッタ川崎でも行って映画見て、美味しいもんでも食べに行こうよ」

今ではもうなかなかお目にかかれないダブルヘッダーが当時は試合日程を詰めるためにシーズン終了にはよく行われていました。この年の近鉄はシーズン終盤に驚異的な追い上げを見せていて、最後のロッテとのダブルヘッダーに連勝すれば優勝、しかし、1試合目は延長が規定によってないという極めて厳しい条件でした。

こんなたわいもない話をしながら、午後3時にプレーボール。試合が始まりました。僕も彼女もこの時、後世にも「伝説」と語り継がれるような試合になるとは思っても見ませんでした。気がつけばスタンドは7~8割ぐらいの入り。いつも閑散としている平日の昼下がりの川崎球場なのに・・・・・・。

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「ロッテの先発は小川か、近鉄キラーだし、変則でなかなか打ちにくいんだよね」

彼女は試合そのものには興味もあまりなく、天気が良かったこともあってプレーよりもちょっとしたピクニック気分。元より監督や選手の名前すらわかりません。そうこうしているうちに試合は進み、7回になってロッテが3-1でリード。

「ロッテ、なかなか強いじゃん」

「うん、近鉄もプレッシャーあるんだろうね」

「でも、これで近鉄負けだよね、優勝シーン見られないのはちょっと悔しいけど、これで帰れる!」

この時、僕らの左横の内野自由席(応援席)あたりは猛烈な近鉄ファンが多くいて、敗色が濃厚になってきた声を枯らして応援をしている状況でした。

「もう、うるさ過ぎ。おじさん、気合い入り過ぎだよ」

彼女は応援団やスタンドを見ている方が面白いようで、優勝がかかった試合の雰囲気が楽しいようでした。

「すごーい、あんな所で人がいっぱい見てる・・・・」

球場の外にあるビルの屋上などにも人が鈴なりで見ていて、どんどん人が入ってきて気がつけば超満員。内野自由席や外野席は立ち見の人がいっぱいいる状況。夕闇迫る川崎球場はだんだんと異様な雰囲気になっていました。

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試合は進み、球場のライトが灯されて8回表に。

「おお、近鉄ヒットだあ、粘るねー」

「だって、近鉄の選手は強い西武からの逆転優勝目指してここまで必死にやってるんだし」

そして加藤選手がファーボールを選び、一塁二塁に。今は亡き名将・仰木監督が代打の村上選手を告げ、そしてタイムリーヒット!

「おおおおおお、すご~い、同点だあ」

スタンドでは紙吹雪が舞い、近鉄を応援するファンが立ち上がり異様な盛り上がりになっています。

「嬉しんだね!今、打った選手、何度もガッツポースしてるよ、ちょっと感動」

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あくびしながらウトウトしていたこともあった彼女がいつの間にか試合に見入っていました。そして周りにいる近鉄ファンの熱烈な応援にあわせて手拍子を始めました。真摯にプレーするひたむきな姿は人を感動させる力があります。そんな力は決して野球を特段好きではない彼女の心をも動かし始めました。近鉄のチャンスは続き、満塁になったもののブライアント選手が三振に倒れ、結局同点のまま、最終回となりました。

「近鉄、勝たしてあげたくなってきたよ。選手たち、一生懸命で高校野球みたい」

「早く、帰りたかったんじゃないの?」

「うーん、今はちょっと試合が気になるかな、えへへ」

「だから言っただろ、いい試合になるって」

「でもロッテも偉いよね、勝っても別に得しない試合に全力じゃん。弱くないし」

近鉄は同点にもかかわらず、このシーズン、リリーフで大活躍の吉井選手をマウンドに送りました。8回裏を無難に抑えて試合は9回へ。

「これで引き分けだと近鉄は優勝できないんだよね?」

「うん、勝たなきゃいけないし、延長も第1試合はダブルヘッダーのためにないんだよ」

この苦しい局面であわやホームランかと思う当たりを巨人からやってきたベテラン淡口選手が放ち、近鉄は勝ち越しのチャンスを迎えました。しかし、ここでプロの意地を見せるロッテも落合選手の代わりに中日からやってきた若きリリーフエース牛島投手をマウンドに送ります。ふと、気がつくと彼女は両手をあわせてお祈りをしていました。特にファンでもない近鉄の選手のために。

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ここで近鉄・40才の若さで亡くなられた故・鈴木貴久選手がライト前にヒット。しかし、当たりが良すぎてホームインを目指したランナーの佐藤選手が三本間に挟まれてタッチアウト、近鉄の勝ち越しのチャンスはつぶれてツーアウトになり、一気にスタンドは意気消沈ムードに包まれました。

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「もう、なんでー。ロッテ最下位なのに真面目にやり過ぎ、近鉄かわいそう・・・・・」

にわか近鉄ファンに変身した彼女もがっかり。試合が始まった時には「早く帰りたい、早く終わって」と言っていた彼女もすっかり試合に気持ちが入ってきていました。そしてグランドでは仰木監督が代打を告げました。

「梨田選手か。彼は近鉄を支えた名捕手なんだけど、今シーズンで引退を表明しているんだよ」

「あーあ、もうさすがに終わりかなあ。高校野球と同じ思い出代打か・・・・・」

打席には梨田選手が入ったものの、いよいよ近鉄もここまでかという雰囲気も漂い始めました。しかし、奇跡を信じる近鉄ファンはこの9回ツーアウト、彼が倒れれば終わりというこの場面において必死の声援を送っています。再び、彼女は声を力強く出し、手を合わせました。

「うん、信じるしかないよね、ここは」

そして、梨田選手の強い気持ちが牛島投手を上回ったのでしょう。振られたバットから飛んだ打球はセンター前へ。二塁から必死に鈴木選手がホームへ走り、外野からも好返球が・・・・・・スタンドからは歓声とも悲鳴ともとれるような声が大きくあがり、皆、立ち上がっていました。

「セーフ、セーフだよね・・・・」

立ち上がった彼女も我を忘れて興奮しています。グランドでは近鉄の選手たちがまだ、勝ちが決まった訳でもないのに抱き合って喜ぶ姿が目に映りました。

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「すごい、すごいよね」

「うん」

一度はもうダメかと思った悪いムードをベテランの一振りが変えてくれました。引き分けでは終わってしまう近鉄の選手たちの執念が乗り移ったようなシーンでした。僕もここまで凄い試合になるとは思ってもみず、ただただ、選手のひたむきさ、そして逆転優勝を目指して必死に闘う近鉄の選手たちとプロとしての意地を見せて全力でそれに立ち向かうロッテの選手たちの姿に感動していました。

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しかし、1点リードの9回裏、守護神の吉井投手が微妙な判定を巡って冷静さを欠いてピンチを拡大、ここで仰木監督がリリープに送ったのは当時の若き近鉄のエース・阿波野投手でした。先発完投型の阿波野投手がリリーフに登場するのは極めて異例なこと。

「阿波野って、どういう人?」

「去年、近鉄に鳴り物入りで入ってきたピッチャーで、日本ハムの西崎投手と人気を二分する若いエースなんだよ。でもリリーフはやったことがないだろうし、この前投げたばかりで疲れもあるからどうかな」

「打たれる?」

「いや、仰木監督は今シーズンは阿波野投手を柱にして勝ってきたから、阿波野投手で打たれたらしょうがないと言う気持ちで送り出していると思うよ。技術や体力より信じる気持ちでマウンドに送ってるよ、きっと」

「そうか、彼で負けたら終わりっていうチームの気持ちなんだね」

「うん、最後は信頼や気持ちなのかな、どんな場合も」

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ピンチで送り出された阿波野投手がもし、同点にされたらそこで近鉄の優勝は消えると言う状況。若い彼はチームの命運を託されてマウンドに向かって行きました。しかし、ヒットやデッドボールでツーアウトながら満塁、三塁ランナーがホームに帰ればそこで同点になり、延長は規定上から無いこともあって試合は引き分けかサヨナラ負けが確定するという絶対絶命の場面となってしまいました。

負けないで もう少し 最後まで走り抜けて 別氣餒 再加把勁直到最後 超越自我  
どんなに離れてても心はそばにいるわ 不管相離有多遠 你的心 近在咫尺  
追いかけて遥かな夢を 追逐著 遙不可及的夢想 

負けないで ほらそこにゴールは近づいてる 別認輸 你看那 已離目標不遠了 
どんなに離れてても心はそばにいるわ 不管相離有多遠 你的心 近在咫尺 
感じてね 見つめる瞳 請感覺這雙凝視眼眸

 やはり若くしてこの世を去った坂井泉水さんがVocalだったZARDの1993年の大ヒット「負けないで」。1980年代から1994年にかけてはスマホもインターネットもなかったけど、人のつながりがアナログ的にあるバーチャルではない生の魅力のある時代でした。


「お願い、負けないで、勝って・・・・・・」

ファーボールもエラーも許されないという中で阿波野投手が渾身の力で腕を振って投げたボールにバットは空を切って三振。その瞬間、ほとんんどの近鉄ファンが立ち上がり、紙吹雪が舞いました。

阿波野投手
第1試合終了

 第1試合終了後は異様な盛り上がりにスタンド全体がなりました。
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「すごい、すごいよ、本当に・・・・・・」

「第1試合が終わったけど、帰る?」

僕は彼女にちょっぴり意地悪な質問をしてみました。

「バカじゃないの?こんなすごい試合が続くのに帰るわけがないじゃない!!」

1988年の10月19日。今から約30年近く前、この長い1日の本当のクライマックスはここからでした。

近鉄女子

 今も語り継がれる伝説の7時間33分。僕はこの時、紛れもなくこの試合を川崎球場で見ていました。第1試合でもう引き分け終了かなと思っていたものの9回ツーアウトからの勝ち越し、そして勝利。この後、テレビ朝日はドラマを中止し、CMも一切流さず、ニュースステーションの中で第2試合を生中継し続けました。第2試合後半の視聴率はTV史に残る関西地区46%、関東地区30%。パ・リーグの公式戦ではダントツの歴代第一位。ファンが決して多かったとは言えない両チームのこの試合はひいきのチームを見るということではなく、試合そのものの魅力とそこで繰り広げられる筋書きのないドラマに多くの人が心を奪われて食いいるようにTVを見ていたと伝えられています。


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